『薄墨桜-GARO-』

 『牙狼 -紅蓮ノ月-』の続編である『薄墨桜-GARO-』を観た。
 公式サイトのキャラクター紹介で、映画公開前には長らく源頼信の氏が「藤原」になっていたので、「養子に行ったのか?」と思っていたのだが、映画公開時には「源」に修正されていた。
 ただし検非違使庁の長官の地位は既に失っているようで、庁内の人事は噂程度でしか知らないようであった。
 1000年前が舞台であり、ゴルバも登場していたので、レギュレイスがボスだろうと予測していたのだが(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20160321/1458519189)。
 内容は、長らく弾圧をされていた土師氏の一派が謀略で菅原道真の遺物であるホラー薄墨桜を復活させ、藤原道長に復讐をしようとするもの。
 この薄墨桜は、かつて多くの魔戒騎士と法師が総出で封印をし、内一名が命を投げうったという設定であった。
 確かに強そうであるが、遷都を余儀無くさせた第六話の「以津真天」程の設定ではないし、現に蘆屋道満も自らの計画に利用しようとしなかったのであるから、映画にしては意外に弱そうである。
 しかしこういう設定マニアの意表を突く形で、ある伏線が回収され、薄墨桜は強化される。これは見事な脚本であった。
 藤原保輔は九州にいて、この事件の援軍には本来は間に合わない状態であったが、途中である危険な近道を使う事で参戦をする。
 無印の『牙狼』終盤でも、映画『神ノ牙』でも、「世界が滅ぶかもしれないけど、援軍が間に合わないから、このメンバーで行こう」という雰囲気になっていたが、保輔程の勇気と実力のある騎士が当時一人でもいれば、話は大幅に変わっていたことになる。
 この、世界が天秤にかかっていても誰も通らない様な危険な近道を、たかが都を守るために使った保輔は、シリーズ史上最高の英雄かもしれない。
 そしてこれぐらいの天才でなければ、レギュレイスを一人で倒すなんていう芸当は無理であろう。
 今回も、掟を忠実に守って相手が人間である限りはそれが極悪人であろうとも守る魔戒騎士と、それを破ることでより多くの善を成し遂げようとする者との対立が描かれていた。これはどちらも自分の立場を「大事の前の小事」と正当化しているので、永久に終わらない論争であり、また終わらせてはいけない論争でもあるのだろう。