最近、統一教会と政界の癒着を告発する主張をほぼ見かけなくなっていた件について。

 第一次安倍政権の頃は、安倍晋三氏と統一教会の癒着が囁かれ、安倍壺三というあだ名も一部で流行していた。

 しかし第二次安倍政権になってしばらくした頃から、統一教会と政界の癒着を告発する主張をほぼ見かけなくなっていた。

 代わりにしばしば目にしたのは、「安倍政権の黒幕は日本会議だ」説や「安倍政権は嫌韓を煽っている」説であった。

 そして正直に告白すると、私もその変遷の影響を多分に受けていた。そして以下のような仮説を立てていた。

 「冷戦構造の崩壊・統一教会教祖の死亡・統一教会の分裂・ムンジェイン政権の成立等の事情により、日本の保守政党への韓国・統一教会の影響力は激減し、かつては冷遇されていた日本の圧力団体が台頭してきているのだろう」

 しかしハーバービジネスオンラインで鈴木エイト氏が書いた記事群*1、とりわけ「政界宗教汚染」というシリーズに数日前に触れ、認識を改めた。

 鈴木氏の一連の記事を読むと、第一次安倍政権よりも第二次安倍政権下で統一教会の日本政界への影響力が増しているようである。

 決して鵜呑みにしたわけではないが、「現在の政界への影響力では日本会議が独走!」説の人からの反論のようなものは、ざっと検索した限りでは存在しなかった。

 鈴木説は、政権批判の主流からは活用もされず陰謀論として唾棄もされず、敬遠されているようである。もちろん政権支持派からもほぼ黙殺されている。

 なぜこんな事になっているかといえば、おそらく「安倍政権の黒幕は日本会議だ」説や「安倍政権は嫌韓を煽っている」説だけで分かりやすい図式を描きたい人にとって、統一教会の存在は話を徒に複雑化させてしまうものだからなのであろう。

 そしてこれは危険な兆候だ。「それなりに実力があるのに、メディアの大半が何らかの大人の事情で監視を怠っている団体」なんてものがあるなら、それこそ本当の意味で「黒幕」であろう。

 日本会議はその点、もはや「白幕」(「黒幕」の対義語が思いつかなかった筆者による造語)である。

 分かりやすい物語に流されない真の大人達が、鈴木氏一人にこの大事な使命を丸投げせず、統一教会を多角的に調査をしてくれることを望む。

 また長年この分かりやすい物語を前提にして親韓・嫌韓活動をしてきた人には、これを機に自分の信じていた世界を問い直して欲しい。