元号と西暦と7月の悲劇

 冒頭、世六と源五郎が激しく論争をしている。そこへ李綜が通りかかる。

世六「元号という制度は天皇が時間を支配するという意味が込められているので、非民主的です。だから廃止して西暦に統一しましょう」

源五郎「西暦はキリスト教だけを贔屓にするものなので、国政に取り入れるのは政教分離違反の疑いがあります。だから元号を維持しましょう」

李綜「諸君の争いを食い止めるため、世俗的でかつ世界にも受け入れられる可能性の高い、新しい暦を考えてきました」

世六「余計な事をするな。俺達はこうやって言論のプロレス興行をして日銭を稼いでいるんだ」

源五郎「こんな第三勢力がいたんじゃ儲からん。二度と喋れないよう痛めつけてやれ」

李綜「えっとっと、う~、これはたまらん」

 そこへ颯爽と河田流美子が登場し、世六と源五郎をスタンガンで追い払う。

李綜「これは助かりました。ありがたい」

流美子「貴方のような立派な思想家を、あんなクズどもに殺させるわけにはいきません。是非とも私たちの組織で公演をして下さい」

李綜「願ってもないことです。早速日程の打ち合わせをしましょう」

流美子「7月14日でどうでしょう?」

李綜「いいですね。午前も午後も空いてますよ」

流美子「メモメモ。"July 14"と」

李綜「えっとっと、その"July"って何です?」

流美子「英語の七月ですけど?」

李綜「えっとっと、その言葉の起源は何です?」

流美子「腐敗した共和制の問題を果断なる態度で解決した偉大なる終身独裁官ユリウス様が、御自身を記念してこの月の名前を定められたのです。世六と源五郎の無駄な争いを解決して新しい暦を定められんとする貴方は、二人目のユリウス様かもしれませんね」

李綜「Et tu?」

流美子「えっとっと?」

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