「日本を戦争の出来る国にするな!」という人たちが「だから食料自給率を下げろ!」と言っているのをまだ見たことがない。

 「日本を戦争の出来る国にするな!」という主張をしている人たちを、駅などで時々見かける。

 ところが詳細に話を聞くと、いつもその目的を達成するための具体論は、法律の話がほとんどである。あとはせいぜい武器弾薬の話がたまに出る程度である。場合によっては靖国神社がどうとかという精神論が主流だったりする。

 しかし科学的にものを考えるならば、一国の戦争遂行能力を下げるには、食料自給率を下げるというのも効果的な方法のはずである。外国と不仲になった途端に食料不足になるのであれば、戦争どころではなくなるからだ。

 ところが「日本を戦争の出来る国にするな!」の人たちが「だから食料自給率を下げろ!」と言っているのを見たことがない。ひょっとしたら多少はそういう立場の人もいるのかもしれないが、管見の限りでは見た事がないし、家族や友人に聞いてもやはり見た事がないそうだ。

 勿論「必ずそう主張しろ!」と言っているのではない。例えば「親戚の農家の儲けが第一で、日本国の戦争遂行能力の低下が第二」という複雑な立場の人がいるのは何の不思議でもない。

 しかしほぼ皆無というのは、余りに不自然だ。

 「戦争の遂行には食料が必要であり、食糧不足の前では神社による精神力なぞ誤差の範囲内」と先の大戦で多くの日本人が学んだ筈であるのに、実に不思議な話である。