「安倍晋三殺害事件は、参議院議員選挙を妨害した民主主義への挑戦か、それとも宗教問題なのか?」という馬鹿な問いへの答え

 二日前、参議院奈良選挙区の某候補者を応援中の安倍晋三氏が銃殺された。

 そしてその事件の容疑者が政治問題ではなく宗教問題を動機として語ったという情報が流れたため、安倍晋三殺害事件は、参議院議員選挙を妨害した民主主義への挑戦か、それとも宗教問題なのか?」という馬鹿馬鹿しい問いが議論されるようになってしまった。

 私に言わせれば、殺害により昨年の衆議院議員選挙の山口4区の有権者の判断を踏みにじった時点で、すでに民主主義への重大な攻撃である。

 山口4区の有権者の多数派は、「候補者の中では安倍晋三氏こそが国会で一票を行使する自分たちの代表に相応しい」と考えて国会に送り出したのである。それを任期半ばで殺したのであるから、当然民主主義への攻撃である。だから仮に容疑者が奈良の参議院議員選挙有権者の誰にも迷惑を与えない形で殺害していたとしても、昨年の衆院選の民意が暴力で棄損された時点で、もう民主主義は相当程度毀損されたのである。

 まずそれを大前提とした上でならば、「さらにそれに加えて参議院議員選挙の結果的妨害もあったが、これはどの程度民主主義に対する毀損の上乗せをしたと言えるか?」について議論をする意味も多少あるだろう。しかし衆院選山口4区の民意を完全に無視したような問いの立て方は、論外もいいところである。

 おそらくそういう馬鹿な問いをした人の多くは、頭の中が参院選だけで熱くなってしまっていて、現役の衆議院議員を単なる応援演説の弁士程度に思ってしまっていたのであろう。猛省を促したい。