『牙狼<GARO>〜闇を照らす者〜』全話視聴計画(第21〜24話・SPECIAL EPISODE)

第21話『義 Justice』
 第19話では哀空吏・猛竜を圧倒していた陰我ホラー六人衆だが、今回はこの二人によって滅ぼされてしまう。二人の体力が回復したせいか、指揮官としてのリベラの能力が尊士に比べて格段に劣っていたせいか、直射日光の当たる屋上での戦いだったせいか。理由は色々と考えられる。
 金城滔星はゼドムの種を莉杏に埋め込もうとするが、流牙に邪魔される。しかもこの際に散った種の一つが種の排出口に戻った結果、ゼドムが目覚め始める。
 なお、この儀式は首塚付近にある首塚とは別の塚で行われていたのだが、第20話の腕塚と同じものか否かは不明である。
 慌てた滔星は尊士を連れて逃げるが、この際に燕邦に命令を出し損ねたので、燕邦は自己の判断で現場に残って流牙・莉杏と戦い敗北する。流牙・莉杏連合は燕邦にとって過去に一度敗北した組み合わせであるので、本来は避けるべき戦いであったのだが、敢えて挑んだのは流牙の視力の回復について知らなかったからなのかもしれない。
 燕邦に友情を感じていた莉杏は、その弔いも兼ねて、燕邦に変身し、SG1隊長として魔戒騎士達の指名手配を解除し、リベラの正体を暴いて殺されるという演出を行う。この際に自分と符礼の指名手配を解かなかった理由は謎である。第16話で燕邦を殺さなかった事は、多くの苦労の原因となったが、ここに来て一気に魔戒騎士側に有利な状況を作るための礎となった。
 リベラが魔導ホラーだと判明した途端、SG1は今まで使っていなかった高性能な火器を使用し始める。これはかなり強力だったようで、リベラは逃げ出し、第22話冒頭ではかなり弱っていた。
 対人戦ならば波動銃で十分であると思われるのに、SG1は何故こんなにも優れた火器も所持していたのであろうか?私が思うに、これは前長官である憲水の差し金である。いつか自己クーデターを起こす際に、SG1が滔星のホラー軍団と戦う事をも想定していたのであろう。そう考えると、やはり対人戦ではオーバーキルとなる「フィストボム」を、第16話中盤で憲水が愛おしそうに撫でていた事にも、納得が行く。
第22話『礼 Master』
 猛竜にソウルメタル製の右手が与えられる。これはかなり自由に動かせるようだ。
 逃亡中のリベラは魔戒騎士達の拠点を発見し、一人で乗り込む。一人で乗り込むというのは随分無謀に思えるが、前回リベラは莉杏の変装を見抜けなかったので、SG1が突如自分を攻撃し始めたのを滔星の指令による粛清の開始だと思い込んだものと思われる。そしておそらくは、大手柄と引き換えにしなければ自分が許されないと思ったのであろう。ハイエナと同じ判断である。
 これは一定の自由意志を持った魔導ホラー達から信頼される工夫をしなかった滔星の失敗である。役立たずのハイエナにも飼い殺し程度の待遇を与えておけば、リベラは情報と命とをしっかり持ち帰ったであろう。
 一人でもリベラは非常に強く、倒されるまでにかなり大暴れをする。思えば第18話でも、相手の失点に頼らずに実力で勝利したのはリベラだけであった。魔戒騎士出身の尊士やSG1隊長の燕邦と並んで滔星が手元に置きたがった幹部だけの事はある。おそらくは元々もただのニュースキャスターではなく、かなりの武道の達人でもあったと思われる。
 ゼドムの復活が目前に迫り、符礼はそれを防ぐために首塚に向かう。途中で遭遇した金城滔星の振る舞いは「怪演」と呼ぶに相応しい、感動的なものであった。
第23話『輝 Gold』
 流牙は尊士を倒して牙狼に黄金の輝きを取り戻す。流牙はその成果を波奏に報告した後、ホラー化寸前であった波奏をも斬る。
 金城滔星は権力を得るためにホラーを利用して母・父・兄弟を殺して台頭してきた。
 これに対応するかの如く、流牙は母が産んだ自分の兄弟的存在である魔導ホラーを正義のために斬り続け、黄金騎士となった。そして母も斬った。よって残るは「父殺し」である。
 復活したゼドムの容姿は中年の男性であり、魔戒騎士の鎧の提供者である事を自ら強調していた。彼こそが流牙にとって最後の成長のために斬らなければならない「父」である。
第24話『照 Future』
 ゼドムの砲撃は凄まじく、最初は本体に近付くのも難しかった。この問題を解決したのが猛竜である。言動や柳葉刀のイメージから何となく攻撃タイプの雰囲気があった彼だが、ソウルメタル製となった右手を盾に変形させて砲撃を防ぎ、大砲の破壊に成功する。片手で刀を振り回していたのが、実は防御型の騎士へと成長するための伏線であったとは、誰が予想しただろうか?
 また前回無駄死にしたと思われていた符礼は、ゼドムの体に弱点を作る事に成功していた。莉杏と哀空吏がその急所を突く。
 最後は哀空吏・猛竜も一時的に黄金騎士となり、ゼドムを滅ぼす。私が期待していた第二形態も無いまま、ゼドム問題はこれで解決する。
 数日後、町の花屋ではもう商品の値札の貨幣単位が"yen"になっていた。金城一族の政治力を失って、早速にも日本国に併合されたか、あるいは名目上の独立は保っていてもVolcityの通貨の信用性が一気に消えたか、そのどちらかの状態であると思われる。
 まだ奥の手がありそうな雰囲気を匂わせていた滔星は、あっけなく素体ホラーに憑依されてしまい、その後もあっけなく殺される。個人的には最後までしぶとく生き残って欲しかったのだが、これはこれであっさりしていて良い。
SPECIAL EPISODE『道 Beginning』
 第20話の回想シーンにあった、失敗したゼドムの儀式のその後を描いている。
 波奏を守れず、しかも彼女が死んだと誤解していた符礼は、自暴自棄になり自殺を試みる。しかし幼馴染の「オウマ」の忠告により、徐々に使命感を取り戻し、流牙・莉杏の師として相応しい存在になっていく。
 オウマの忠告にあった「あの世で波奏が、どんな思いでお前を迎え入れるか、見物だな。」という言い回しは、現実世界においても有り得るが、あの世の存在が証明されている作品世界内では現実世界の同じ言い回しの数倍の威力を持っていると思われる。
 符礼とオウマの会話から、彼等の幼少期においても牙狼の鎧が既に黒ずんでいた事や、黒ずんだ理由は強敵と戦った際に黄金の力を使い果たしたからである事や、牙狼の鎧が安置されていた場所が『牙狼<GARO>〜MAKAISENKI〜』の「第11話 咆哮」に登場した英霊の塔である事といった設定が明かされた。