2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

秦帝国のラストバタリオン

少し前に映画『ハムナプトラ3』を観た。 リアルな兵馬俑は実は呪いで石化された本物の兵隊だったというアイディアが用いられており、終盤ではその石像軍団が復活して戦闘まで行う。これは相当新奇で面白いと思ったものである。 そして昨日、鶴間和幸著『秦…

日本よ、今こそ帝国たれ!

少し前に電車の車内広告で見たのだが、ある雑誌が北朝鮮を「帝国」呼ばわりして批判していた。 私には強烈な違和感があった。 「帝国」には、複数民族の上にある種の普遍性の高いものが君臨しているイメージがある。成立当初の北朝鮮は、スターリニズムとい…

人間・内藤勝夫

当時は強い差別の対象であった母子家庭に生まれ育った内藤少年は、偉人の伝記を読むのが好きであった。そこには、周囲の無理解の果てに、ソクラテスやキリストが刑死し、孔子が彷徨し、仏陀が自殺願望を持った、と書かれていた。内藤少年は大いに涙し、精神…

そろそろ、溜まった金を貧民救済に使う教団が出てきても良いじゃないか。

最近私は、映画『蟹工船』で原作にも無かった信仰による問題解決という発想への批判が盛り込まれているのを観た(参照→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20090716/1247753294)。そしてまた、普段から拝読しているブログ「カフェオレみたいな日記」で信仰と慈…

蜀漢正統論の形成において、劉禅の果たした役割

『三国志』の時代、蜀漢は三国の中で最も早く滅んでしまった。 しかし後代には、徐々に蜀漢こそ中国史の正統なる王朝であったという説が高まっていった。 その説の興隆の原因としては、まず大局的に見て、北方を失った南朝や南宋の知識人が自らの立場を蜀漢…

二つの『蟹工船』

以前、『蟹工船』が既に著者の意図した役割は終えているという内容の日記(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20080327/1206606500)を書いたら、その直後に空前の『蟹工船』ブームが到来し、大いに恥じ入った(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20080503/12097…

『まぼろし探偵』全話視聴計画(第34・35話・特典)

第34話 まだら蜘蛛の復讐 宮脇剛造という「鬼検事」の娘である典子が攫われる。奇しくも「鬼警部」富士登の娘と同じ名前である。 剛造が身代金を持って外出すると、宮脇亭を監視していた誘拐組織の構成員は、警察の尾行が無い事を暗号で首領に連絡する。 …

新百合ヶ丘にて

昨日、友人に誘われて昭和音楽大学で行われたコンサートに行ってきました。「室内楽の調べ〜ヘンデル没後250年に寄する〜http://www.preludio.co.jp/koenjyoho/detail.php?id=34」です。 ソプラニスタ・ハープ・オーボエ、どれも素晴らしかったです。行って…

『まぼろし探偵』全話視聴計画(第32・33話)

第32話 ダイヤの秘密 今回争奪の対象となる青ダイヤは、元々はカルカッタの寺のバラモン像に嵌められていたが盗まれ、やがてポタラ宮殿に納められ、ダライ=ラマのインド亡命に際しインドに里帰りするも、謎の魔術師に奪われた、という設定。 吉野さくらは…

夜汽車

車両の端の方で麦酒缶を片手にして意味不明な言辞を連ねていた老酔客が、不愉快な事に私の座席の方に近付いてきた。彼が吼える場所を変えたのには彼なりに理由があるのだろうが、その理由が何であれ不愉快である事に変わりは無い。 先程まで不愉快で無意味な…

「死票」という言葉が嫌い。

死票という言葉が嫌いである。 そもそも、当選した人間の名前が書かれた票だけが有意義なのだろうか? 確かに、一票差で勝敗が決まった場合や引分の後に籤で当落を決めた場合等の極めて限定的な状況では、最下位当選者の名が書かれた票全てに深い政治的・歴…

自害の余殃

三年前の今頃、恋人が自殺をした。正確には、恋人であったかもしれない知人(以下、「甲」と表記)が自殺を予告してきた。甲は自殺をする直前、私に電話をしてきたのである。 その電話の内容を簡潔に纏めると、甲は私を実は憎んでおり、憎んでいたのに付き合…