『まぼろし探偵』全話視聴計画(第34・35話・特典)

第34話 まだら蜘蛛の復讐
 宮脇剛造という「鬼検事」の娘である典子が攫われる。奇しくも「鬼警部」富士登の娘と同じ名前である。
 剛造が身代金を持って外出すると、宮脇亭を監視していた誘拐組織の構成員は、警察の尾行が無い事を暗号で首領に連絡する。
 その通信を傍受したアマチュア無線家は警察に記録を届け出る。しかし警察でもその暗号は全く解けない。また特ダネ目当てに警視庁に待機していた富士進にすら解けない。
 ところが進が暗号を編集部に持ち帰ると、山火編集長の協力によって暗号は解けてしまう。山火は今まで本業以外で何ら活躍してこなかったが、意外な特技を持っていたものである。
 これにより、宮脇典子誘拐事件が身代金目的に見えたのは偽装であり、真の目的は剛造を一人で誘き寄せる事だと判明する。山火・黒星十郎は、剛造を救うために車を飛ばす。
 二人の乗る車は、スピードを出し過ぎたのか、白バイに停止させられてしまう。すると山火は誘拐事件に関する情報をペラペラ話して理解を求める。被害者家族の同意を得ずに誘拐事件を警察に報告するのが常に悪だとは限らないが、今回の事例でそうするのが本当に正義だと思うのであれば、白バイに咎められる前に報告すべきであった。
 山火は白バイ隊員に誘われるままヘルメットを着用せずに白バイの後部座席に乗せてもらい、隊員と一緒に捜査を進める。その際、黒星は徒歩での行動を命じられる。
 道を歩いていた黒星は誘拐組織に捕まってしまい、典子が監禁されている小屋まで連行される。しかしそこには典子を救ったばかりのまぼろし探偵が待ち構えていた。誘拐組織の構成員達はまぼろし探偵に敗れ、逃走を始める。
 まぼろし探偵が追跡を開始すると、止せば良いのに黒星・典子もその後を追う。構成員達は、一時的に身を隠してまぼろし探偵をやり過ごし、その直後に来た黒星・典子を人質にするという高度な離れ業をやってのける。まぼろし探偵「卑怯な!」と弱音を吐く。
 さて剛造だが、彼はかつての友人にして今回の事件の主犯である「まだら蜘蛛」に捕まっていた。まだら蜘蛛は、過去に剛造のせいで死刑を宣告されたので、刑務所を脱走して自分の「人生を滅茶苦茶にした」剛造に復讐に来たらしい。だが死刑囚を収容するのは刑務所ではなく拘置所の筈である。してみるとまだら蜘蛛は、一審では剛造のせいで死刑を宣告されたものの、二審では懲役刑か禁固刑で済んだのかもしれない。
 まだら蜘蛛は、自分の人生を滅茶苦茶にした相手に対して随分寛容な事に、死ぬ前に典子に会わせてやろうとする。しかも、部下が中々典子を連れてこないと、わざわざ剛造を典子の監禁小屋まで連れて行く。そこで典子が既に奪還された跡を見ても、まだ剛造を殺す前に一目典子に会わせるという約束を律儀に守り続け、剛造を生かしたまま一緒に典子を探す。
 こうして構成員が黒星・典子を人質にしてまぼろし探偵に立ち向かっている所に、まだら蜘蛛と剛造も合流する。これでまぼろし探偵は更に圧倒的に劣勢となる。
 だが黒星が「あ、警官だ。」と嘘を吐くと、全員が余所見をしてしまう。つまりまぼろし探偵も騙されかけたのだが、彼の立ち直りだけが一瞬早かったので、形勢はしっかり逆転する。まぼろし探偵は図に乗って「まだら蜘蛛、正義はいつもこういう結果になるんだ。」と宣言する。
 ここでまだら蜘蛛は、前を向いたまま助走も無しに後方数メートルの地点への跳躍をし、部下を見捨てて逃げ去る。見捨てられた二人の部下は剛造と黒星に叩きのめされる。
 やがてまぼろし探偵に追い着かれたまだら蜘蛛は、本領発揮を宣言し、「まだらの術」を始める。まぼろし探偵は金縛りになって動けなくなる。まだら蜘蛛は近付いて拳銃で止めを刺そうとするが、いきなり動き始めたまぼろし探偵に差し押さえられる。
 「まだらの術」が少しは効いたのか、それとも効いた様に見えたのはまだら蜘蛛を油断させるためのまぼろし探偵の演技だったのかは、狂言『柿山伏』同様、最後まで謎のまま終わる。
第35話 黒星故郷に帰る
 黒星十郎が故郷の群馬県伊香保町に講演のために帰省するという話。
 偶然にも黒ダイヤの強盗事件が町で起きるが、まぼろし探偵の活躍で無事に解決する。
特典 クラーク東郷・後編
 『まぼろし探偵』には現在欠番となっている回が複数存在する。このクラーク東郷の前編もその一つであるため、この全話視聴計画に使用したエムスリイエンタテインメント版以外では、後編も収録されていないらしい。
 探偵のクラーク東郷が、部下が扮した「髑髏マント」による事件を何度も解決して世間の賞賛を得、その成果を悪用して早川家から紅ダイヤを奪おうとする。
 ナレーターはこの紅ダイヤを「時価数千万円」と評価しているが、東郷の一味の間では「時価一億円」という評価になっている。
 まぼろし探偵は、東郷が早川家に詰めている隙に、東郷の事務所に居た彼の部下を全員倒して、髑髏マントの衣装を奪う。
 まぼろし探偵の依頼により、黒星十郎は髑髏マントに扮して東郷に近付き、紅ダイヤを奪って逃げ出す。
 やがて東郷は黒星に追い着き、彼を気絶させて紅ダイヤを取り戻す。そこにまぼろし探偵が現れる。
 計画の全貌を見抜いていたまぼろし探偵に対し、東郷は「そこまで調べ上げた以上、御前も黒星と同じ憂き目に遭わしてやるぞ。いいか!」と脅しの文句を投げる。まぼろし探偵「望む所だ。」と答える。『すごいよ!!マサルさん』ではギャグとして行われていたのとほとんど同じ遣り取りを何気無くこなしてしまうのは凄い。
 その後東郷は、まぼろし探偵と息を吹き返した黒星とをガソリンタンクの上に誘き寄せ、しかも自分は密かにまんまと安全地帯に戻るという、高度な作戦を成功させる。後は銃弾を一発撃てば勝利していた筈なのだが、大声で勝ち誇ってしまったために狙撃され、惜敗する。

すごいよ!!マサルさん 4 セクシーコマンドー外伝 (ジャンプコミックス)

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