『まぼろし探偵』全話視聴計画は、約一ヶ月前に一応完結したのだが、一応全体的を通じた感想・考察等も最後に書いておきたい。
まず一番面白かったのは、同じ俳優が何度も別の役で登場している点である。明石竜二の八面六臂の大活躍は何度も強調した通りだが、他にも重要な役を複数演じた俳優は多かった。おそらくテレビ俳優という職業がまだ成立していなかったのが主な理由であろうが、モノクロだからメイクで何とか誤魔化せたというのも大きそうである。アニメの声優では、今でも似た様な演じ分けが普通に行われている。
また脚本が杜撰過ぎて登場人物が馬鹿ばっかりに見えたのも面白かった。当時の子供向けのドラマを作っている人達には、相手が子供なら手を抜けるだけ抜いておこうとする、誇りの無い連中が多かったのだろうか?それとも本人達の知能も、『まぼろし探偵』の登場人物程度か、下手をするとそれ以下ぐらいだったのだろうか?
小熊英二著『<民主>と<愛国>』(新曜社・2002)で、『まぼろし探偵』等の作品で子供が大人より賢いのは、当時の風潮が戦争を食い止められなかった世代を馬鹿にしていたから、という見解が引用されていたのを見た記憶がある(ページは忘れたので、再発見したら書き直す)。しかし実際に視聴してみると、まぼろし探偵と同世代の吉野さくらも大人と同じぐらい愚かだったし、まぼろし探偵自身も相当愚かであった。
最後に一つだけ真面目に賞賛しておく。当時の東京の風景や人々の服装が大量に撮影されているので、話の内容や制作者の意図はさておき、映像資料としては大変貴重なものであると思われる。
この面白い作品を広く紹介しようと頑張ってブログを書き続けたものの、少なくとも連載時の反響は芳しくなかった。少々残念である。
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