『まぼろし探偵』全話視聴計画(第32・33話)

第32話 ダイヤの秘密
 今回争奪の対象となる青ダイヤは、元々はカルカッタの寺のバラモン像に嵌められていたが盗まれ、やがてポタラ宮殿に納められ、ダライ=ラマのインド亡命に際しインドに里帰りするも、謎の魔術師に奪われた、という設定。
 吉野さくらは、従姉妹の房子(オープニングのテロップでは房江)の家族が宮ノ下駅付近で経営する温泉旅館「仙石屋」に逗留していた。ある晩の仙石屋の演芸会で、ヒマラヤ妖術を使う「ヨギ行者」のピカール=マハマットのターバンに大きな青ダイヤが飾られていた。さくらはこれがバラモン像の青ダイヤである事を見抜く。ピカールは見抜かれた事に気付いたため、さくらを殺そうとする。それにしても世界的に有名な青ダイヤを堂々とターバンに付けていては、今回に限らず、ちょっとした情報通に出会う度に殺さなければならなくなるだろう。今まで何人殺してきたのだろうか?
 ピカールはダイヤを吉野さくらに与える振りをして、ダイヤの呪いを解除する儀式のためと称した登山に誘う事に成功する。ピカール山奥でさくらと手を繋いでいたりして何となくいやらしい。
 前日の演芸会ではピカールの弟子だった陳・楊という二人組の中国人も、ダイヤを求めて山を登り始める。第17話以来の、久々の三つ巴である。
 さくらと合流するため黒星十郎と共に宮ノ下駅に到着した富士進は、房子から事情の一部を聞かされ、事件の全貌を見抜く。
 三人もさくらを助けるために山を登り始める。途中で富士進は、密かにまぼろし探偵に変身するために、二手に別れる事を提案する。
 黒星・房子は陳・楊に遭遇する。黒星達は催眠術や格闘術に苦しめられた挙句に縛り上げられてしまう。だがそこへまぼろし探偵が助けに来て、逆に陳・楊を縛り上げる。
 その頃頂上では、さくらがピカールに崖から突き落とされそうになっていた。まぼろし探偵はここにも助けに来る。
「誰だお前は?」
と問われたまぼろし探偵、自分の知名度への絶対の自信を崩さず、
「御覧の通りのまぼろし探偵だ。」
と答える。
 ここでの格闘の最中、ダイヤは崖を転げ落ちる。ピカールは身の安全に配慮しながらも大急ぎでそれを追い駆ける。まぼろし探偵わざわざさくらと手を繋いで崖を降り始めたため、遅れをとる。
 ダイヤは偶然にも何とか縄を解き終えたばかりの陳・楊の足元に落ちる。
 こうして陳・楊はダイヤを手にするのだが、これだけの騒動の後にも関わらずのんびり仙石屋の温泉に入ってしまい、ピカールにもまぼろし探偵にも追跡される身の上となる。
 ピカールは陳・楊を射殺してダイヤを奪い返す。
 そこへ現れたまぼろし探偵ピカールとの戦いを開始する。この戦いは随分な接戦となる。しばらくして黒星・さくら・房子も現れるのだが、普段ならこういう時に敵を背後から攻撃してくれる黒星が、何故か今回は自分の首を絞めながら焦っているだけで役に立たない。ヒマラヤ妖術の威力だろうか?それとも黒星に正々堂々たる一対一の戦いには加わらないという矜持でも有ったのだろうか?
 だが結局はまぼろし探偵が勝利する。
 ラストシーン、さくらは今度は房子と手を繋いでいる。
第33話 仙人沼のせむし男
 現在ではまず放映が不可能な題名である。
 遺産の奪い合いを描いた話なのだが、わざわざ家の名を「犬神家」にしている。
 冒頭、犬神ショウザエモンが死亡する。財宝の在り処は、それを収めた蔵の鍵でもある金の鍵と銀の鍵とに書かれているのだが、息子の犬神明は金の鍵を持ったまま三年前に行方不明となっている。銀の鍵は娘の犬神美矢子が継承する。
 その頃日の丸新聞に、仙人沼で幽霊が出現するという投書が寄せられる。実はこの幽霊の正体は、三年前に叔父の日影竜吉に金の鍵を奪われて谷底に投げ落とされた明であった。明は、第30話の柿島サブロウよろしくこの墜落のせいで体が不自由になり、しかも『犬神家の一族』の青沼静馬よろしく顔に大怪我をして別人の形相になってしまっていた。
 日影は部下の松田と共に、美矢子から銀の鍵も奪う。
 金の鍵には「武蔵野の高取山の麓なり」とあり、銀の鍵には「沼の畔の杉の木の下」とあった。
 この情報を元に日影・松田は仙人沼を訪れるが、待ち構えていた明に戦いを挑まれる。明は天才的な体術で日影から拳銃を奪うのだが、怒りの対象である筈の日影を何故か撃ち殺さず、追い返すだけで満足してしまう。日影は逃走の際に銀の鍵を落としてしまう。こうして銀の鍵は明の手に渡る。
 次に明は、美矢子からの依頼を受けて銀の鍵を探していたまぼろし探偵を日影の手先と疑い、格闘を仕掛ける。この戦いの最中に明は日影に狙撃され、足を更に痛める。まぼろし探偵が日影・松田を追跡している隙に、明は何処かへ去るが、銀の鍵を落としてしまう。こうして銀の鍵はまぼろし探偵の手に渡る。
 日影は美矢子を人質にして、まぼろし探偵に銀の鍵との交換を要求する。約束の場所で日影が拳銃を捨てて交渉を始めると、まぼろし探偵はすっかり相手を信用して自分も特殊電波ピストルを捨てる。そこに松田が突然現れてまぼろし探偵に拳銃を向ける。まぼろし探偵は実に間抜けだが、日影も日影で間抜けな事に、銀の鍵を奪うだけで満足してしまい、まぼろし探偵を殺すのを忘れる。
 沼では、明の助力によって美矢子への銃口が逸れ、その瞬間にまぼろし探偵が反撃に出たので、事件は解決する。