『まぼろし探偵』全話視聴計画(第13・14・15・16話)

第13話 消えた花売り娘
 前回正義役を演じた明石竜二は、再び悪役となる。日本人の少女を攫って香港に売り払っているらしい。
 劇中では千葉神奈川神奈川で起きた子供の行方不明事件も彼の組織の犯罪である可能性が匂わされていたが、まぼろし探偵は自身が救った被害者の少女三名に対し、「さあ、一刻も早く東京に帰りましょう。」と言っている。
 まぼろし探偵が組織を壊滅させるまでに何人が犠牲になっていたのかは謎のまま終わる。
第14話 犯人黒星十郎?
 自分の風貌が日の丸新聞の黒星十郎記者に酷似している事を知ったある泥棒は、黒星に成り済まして彼の給料を前借りしたりする。偽黒星を演じているのは普段黒星を演じている花咲一平。つまり第11話の影響が強い話である。
 図に乗った偽黒星は、吉野博士からロケットの書類を奪って外国に売るという計画を立てる。小金に目を晦ませず初めにこれを行っていれば良かったのだろうが、その頃には富士進に偽物の存在が見抜かれていた。
 まぼろし探偵は本物の黒星に確実なアリバイを作ってやるため、富士警部に黒星を明日まで警視庁で預かって欲しいと要請する。富士警部は、「大塚君、黒星君に逮捕状を出してくれたまえ。」と命じる。大塚刑事は黒星を逮捕する。こんな非道が罷り通って良いのだろうか?
 第8話よろしく部下と共にロケットの書類を奪い取った偽黒星は、吉野博士を殴って気絶させたものの「殺しゃしねえ。」と宣言して去る。しかしこの一団は更に一儲けしようと思ったのか、吉野さくらを誘拐し、「わっしょい、わっしょい。」と大声を出して運ぶ。無用心にも程がある。
 直ぐにまぼろし探偵に発見されて叩きのめされたのは言うまでもない。
第15話 ニセ札団
 この回は当時の豊島園遊園地の映像が大量に流れており、資料として高い価値がある。
 話の内容は、偽札を作っていた一味が結局はまぼろし探偵に壊滅させられるというものであり、筋書きには珍しく大きな欠点は見当たらない。
 偽札団の印刷機は、非常に小型である。しかも彼等は、それさえあればいざとなってもアメリカでもフランスでも活躍出来ると息巻いている。普通に高性能小型印刷機の特許を取った方が儲かったと思われる。
第16話 白狐の挑戦
 今までの脚本は全て柳川創造が担当していたが、今回は山本流行が担当している。
 オープニングの配役で舟木教授と「白狐」が同一人物である事が判る。舟木教授は既に学校を辞めて舟木精神科学研究所で悩める人々の相談を受けているという設定なので、正確には名誉教授であると思われる。白狐は御狐教の首領。
 舟木教授は催眠術で吉野さくらを操り、吉野博士亭の金庫から原子力の設計図を盗ませる。操られている時のさくらは町中で狐の面をつけている。彼女の足取りをぼかすための策略なのだろうが、却って怪しまれていた可能性も高い。
 更にはほぼ同じ手口で後藤大蔵大臣の妻を操って黄金の仏像を盗ませる。
 御狐教が怪しいと睨んだまぼろし探偵は裏口から教団の敷地に潜入するが、すぐに見つかってしまう。白狐は黒狐に「狐の制裁」を命じる。黒狐は格闘を仕掛けるが、形勢が不利になると白狐を見捨てて逃げ出してしまう。
 すると白狐は「畜生。この俺は黒狐とはちょっと訳が違う。」と言って自らもまぼろし探偵に格闘で立ち向かう。「畜生」というのは、六道思想を背景にした相手を動物扱いする伝統的な悪口であるのだから、狐の面をつけた側が発すると違和感がある。また本当に肉弾戦も黒狐より優れているのであれば、黒狐が劣勢になった時点で直ぐに加勢してやるべきであった。
 まぼろし探偵は、御狐教の首領の白狐を貶めて「狐教の首領」と呼び、「御前も制裁が受けたいのか?」と聞く。二人の間での格闘は今度もまぼろし探偵が優勢となる。白狐は痛みを我慢しながら「畜生。この勝負は後日に預けた。」と宣言し、推定2m程の門を僅か数歩の助走で飛び越えて逃亡する。
 過去まぼろし探偵と戦って逃げ延びた人物としては、第5話の偽まぼろし探偵がいるが、これは子分の助力があってこその逃走であった。御狐教は組織としては第9話の熊谷一味に劣るであろうが、白狐自体は単体としては過去最強の敵と言える。
 逃げ延びた白狐は、まぼろし探偵の振りをして黒星十郎を電話で呼び寄せ、人質とする。そして日の丸新聞社に、五時までにまぼろし探偵が来なければ黒星を殺すという脅迫の電話をするのだが、待ち合わせの場所については特に指定しない。山火編集長も場所については聞かず、相手の名前だけを尋ねている。
 白狐は三人の黒狐を従えてどこかの海岸で待ち伏せていた。しかし黒狐の一人は何時の間にか中身がまぼろし探偵になってしまい、黒星も救出されてしまう。
 四対一の予定が三対二となったため、格闘は今度もまぼろし探偵側が優勢である。黒狐の一人は砂浜で助走も無しに垂直2m程の跳躍を行う。これ程の肉体改造の技術があれば、他にもっと良い儲け方があったかと思われる。勿論最後にはまぼろし探偵が勝つ。