『まぼろし探偵』全話視聴計画(第21・22・23話)

第21話 暗殺団を倒せ
 冒頭、第2話でリマール王女の命を狙っていた連中の屋敷と同じ屋敷の門から自動車が出発する。話の内容も、富士進と黒星十郎が取材を通じて知り合った外国の王族の暗殺を阻止するというものである。主な舞台となる場所で偶然吉野さくらと会うという点や、まぼろし探偵が黒星関連で無駄な時間を費やしたせいで王族の命が危うくなる点まで共通している。これはもうリメイクと呼んでも良いだろう。
 暗殺団の親分は、訪日中のインド連邦のアラカン王子に対する暗殺計画があると、まぼろし探偵を名乗って黒星に電話で伝える。黒星は第16話の時とは違って半信半疑である。「どうもいつもの声と違うな。」と富士進の前で言うのだから失笑を誘う。
 親分がそんな親切な予告電話をしたのは、日の丸新聞に恨みがあるからとの事である。恨みがあるなら、特ダネはライバル社にくれてやった方が良い。あるいはもっと信憑性の薄い形で暗殺計画を伝え、後からあれは真実だったのだと思い知らせて悔しがらせれば、少しは復讐になるだろう。
 王子は大島見物のために客船に乗っていた。進と黒星も乗船し、即座に黒星への電話の一件等をペラペラ喋っている親分を発見する。
 黒星はこんな事もあろうかと、まぼろし探偵変身セットを持参してきていた。まぼろし探偵に成り済ましてうろつけば暗殺団を萎縮させる事が出来ると思ったらしい。しかし暗殺団の「上海キッド」に簡単に捕まってしまう。
 上海キッドによって連れてこられた偽まぼろし探偵を見た親分、「おいキッド、こいつはおかしいぜ。偽者じゃねえのか?」と言う。先程の電話の場面といい、まぼろし探偵は偽まぼろし探偵を知るといったところか。
 暗殺団達は黒星に顔を見られた訳だが、殺しはせず、最終的には解放するかの様な態度をし続ける。中々に紳士である。
 上海キッドはナイフを持って王子の部屋に入る事に成功するが、王子の命乞いに少しは耳を傾けていたせいで無駄な時間を費やしてしまい、間一髪という所でまぼろし探偵に阻止されてしまう。
 まぼろし探偵の方でも、王子の救出がこうも間一髪になっていたのは、殺される心配がほとんど無い黒星をわざわざ王子より先に助けるため、彼を縛る縄を切りに行っていたせいである。
 二流対二流の、白熱した攻防戦である。
 なお終盤の格闘では上海キッドの方が親分よりも弱い。
第22話 海底魔人
 海底王国の工作員三名が、地上征服の前線基地を作るため、日本に上陸する。彼等は資金調達のため殺人光線銃で強盗殺人を繰り返す。まるで北朝鮮への当て擦りの様な内容である。
 この光線銃は人間の心臓に命中させると人間を心臓麻痺で殺せるというものであり、頭部を撃っても相手を殺せたり足に当たれば足止めが出来る普通の銃よりも遥かに使い難い兵器と思われる。しかし工作部隊の隊長は部下に対し、「あの殺人光線銃さえあれば自衛隊が出てきたって平気だ!」と言い張る。
 中盤、吉野博士は「朝活けたばかりの百合の花」と言うべき時に「今朝活けたばかりの百合の花」と言ってしまう等の惚けっぷりを見せつつも、「いかなる光線も通さない薬品」をくれる。一度も早撃ちで負けた事の無いまぼろし探偵に対しては余計な御節介にも見えるが、夜郎自大の海底魔人達に強大な屈辱感を与える役には立ちそうである。
 そして最終決戦。まず警官三人が工作員三人と小競り合いをし、警官一名が死亡した所にまぼろし探偵が到着する。予想通り、まぼろし探偵はまずは工作員達に好き放題に光線を撃たせて勝ち誇る。両隣にいた生き残りの警官達が巻き添えを喰らったらどうするつもりだったのだろうか?
 やがて三名の工作員まぼろし探偵に叩きのめされる。しかもデウス・エクス・マキナ的大地震により、海底王国は滅亡寸前となる。事情を聞いたまぼろし探偵は、「そうか、それが自業自得というものだ。地上の世界を征服しよう等という、大それた野心を抱くからだ。」と説教をする。前線基地の建設の費用すら工作員に全額現地調達させる様な貧相な連中が、軍事費を全部防災に転用しても、高が知れているのではあるまいか?
 余談だが、今回の富士進の台詞の中で、現在欠番である「怪人黒マント」の回で黒星が腰を抜かしたという話が語られる。
第23話 ゆうれい島
 漁村が舞台である。良い漁場であった付近の無人島に幽霊が出るという噂が立つ。明石竜二演じる老人は「アラタマ様の祟り」かもしれないから島に近付くなと触れてまわる。漁師から「それは一体どうした祟りなんだ?」と聞かれても、老人は「アラタマ様の祟りかもしれん。」と繰り返すだけである。
 この噂は、密輸組織が無人島を取引場所として活用するために流したものであった。「アラタマ様の祟り」の老人は、仲間と合流すると白髪の鬘を外して黒髪の正体を現す。これには『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』の最終決戦でロミオが金髪だと判明した時以上に驚かされた。
 ともかくこれで、この「老人」が村の古老でない事が判明した。祟りだの何だのを信じる様な古風な村であれば、謎の余所者の老人の発言は初めから相手にされないであろうし、逆に余所者を受け入れる開明的な村であれば、祟りだ何だと主張しても相手にされないであろう。そう私は思うのだが、如何なものであろうか?
 それでも「老人」に脅されて怯えきってしまった現地の少年達は、日の丸新聞を通じてまぼろし探偵に助力を請う事にした。
 先行した黒星十郎は、骸骨の面をした黒装束の集団に脅されて逃げ帰る。おそらくこの黒装束から骸骨の面を外すと第1話の甲武信党員となり、狐の面に替えると第16話の黒狐となると思われる。
 次の上陸にはまぼろし探偵も同伴する。二手に分かれた後、黒星は捕まって第16話よろしく木に縛り付けられる。そこに黒装束集団の一員を装ったまぼろし探偵が近付いて全てを解決するのも第16話と同じ。