『まぼろし探偵』全話視聴計画(第6・7・8話)

第6話 オリオン王国の秘密
 オリオン王国のオリオン王子が訪日し、まぼろし探偵に警護を依頼してくる。王子は記者会見での黒星十郎の言動が気に入ったらしく、富士進と黒星をホテルに特別に招待する。そこに三条銀子なる女性が面会を求めてくる。王子の祖父であるオリオン十六世の描いた絵を持っているらしい。
 三人が三条亭を訪れると、確かにオリオン十六世の署名入りの絵がある。ただし黒星だけはその絵に違和感を持つ。
 そこへ記者がやってきて、写真を撮るふりをして催涙ガスを撒き、王子を誘拐する。これはタイやフィリピンでも王子を狙っていた「スペード団」の仕業であり、目的は「オリオンの剣」を奪う事にあった。そして三条銀子こそ、実は「スペードの女王」だったのである。
 余談だが、まぼろし探偵には「オリオン王国の秘密」以前に関西限定で放映された「スペードの女王」という回があり、フィルム行方不明のため欠番になっているとの事である。この回の前哨戦だったのだろうか?
 銀子の猿芝居にすっかり騙された進と黒星は、犯人は銀子と無関係だと一度は思い込んで三条亭を去る。しかし黒星は、三条亭ではオリオン十六世の作だとされていた絵を、かつて上野の美術館で観た経験がある事を思い出す。スペード団は銀子が事件と無関係であると世間に思わせるためにわざわざ美術館から絵を盗んで壮大なトリックを構築していたのに、目撃者として利用するはずだったこの黒星の記憶力のせいで計画は崩壊に向かう。
 黒星の知能は絶対評価をすれば原作とほぼ同等という印象を受けるが、ボンクラばかりのこの映像世界においては相対的にかなりの切れ者になってしまっている。
 その話を黒星から聞かされた直後の進の前で、御都合主義的に銀子がタクシーから降り、しかもスペードのマークのあるライターを落としてしまう。こうして進は全てを見抜く。
 黒星が日の丸新聞社に帰ると、まぼろし探偵から特ダネがあるから三条亭に来いという電話があった事を伝えられる。特ダネだというのにまだ誰も出向いていない所を見ると、どうやらまぼろし探偵は黒星を御指名の様である。
 やがて事件は解決し、まぼろし探偵は言う。「これで黒星さんも特ダネが取れて本当に良かった。」
 まぼろし探偵は一見無償で働いている様に見えるが、結局は自分の勤めている会社の便益を図り、社内における自分の派閥の台頭も目指しているのである。
第7話 れい迷教?

 題名に疑問符が付いた理由は謎である。なお劇中における教団の正式な表記は「靈迷教」である。
 教団の幹部は、巫女である教祖・トゲの付いた棍棒を持った巨漢・ヘラヘラ笑っている髭男の三人である。
 教団は富豪から娘を誘拐して、「靈迷教のミコト」の御告げで被害者の居場所を知りたければ五百万円の御布施をしろと要求する。なおその計画は被害者の前で全て話してしまっている。もし彼女を解放すれば早晩全ては明るみになるであろうし、また解放するつもりがないのならわざわざ生かしておいている理由が不明である。
 幹部達は「靈迷教の本部がこんな所にあろうとは誰も知るまいて。」と決め込んでいるが、富士進と黒星十郎は本部を簡単に発見する。黒星は捕まるが進は帰宅し、これがために警察も教団本部の場所を知る。
 捕らえた黒星に対し、教団幹部は「お前に我が靈迷教の有り難さを教えてやるんじゃ。」と宣言。何を始めるかと思えば、信者達の奇妙な踊りを見せ付けるだけである。この踊りに参加した信者の数は、十名弱。
 翌日、本部の付近に刑事がうろついているので、教団幹部は国外逃亡を決意する。しかし思い切りの悪い事に脱出寸前まで身代金に固執していたため、まぼろし探偵に本部に進入されて教団は壊滅する。
 まぼろし探偵が格闘を楽しむため敵の一部を特殊電波ピストルで痺れさせないのは御約束。
第8話 日本から逃がすな
 吉野博士が新型の宇宙ロケットを開発する。この研究に18年没頭していたらしい。この回が放映されたのが1959年であるから、1941年頃からずっと研究していたのだろう。また設計図が自宅にあった事から見るに、密かに自宅で研究していたのであろう。秒速は22km、人も乗れて月にも行けるらしい。
 しかし設計図は新聞記者に化けた二人組の外国人(内一名は日系二世風)によって奪われてしまう。よくよく偽記者の出てくる作品である。
 富士進は二人が車で去るのを目撃する。駆けつけた富士警部は、進に車のナンバーを聞く。第5話の頃と比べ、捜査能力が格段に向上している。
 やがて進は目白で犯人が乗り捨てたと思われる車を発見、まぼろし探偵として父に電話する。
 富士警部の部下の香山刑事と大塚刑事は目白に向かい、捜査を開始する。二人は目白のクリーニング店で「外人と二世風の男の住所」について尋ねる。店員はこの辺は外人が多いと言い、目白アパートには外人が沢山住んでいるとも言う。二人が目白アパートの住民に外人と二世風の男について聞くと、「外人さんなら九号室に住んで」いるという情報が手に入る。
 ここで刑事の一人は、もう九号室の住人が犯人だと決まったかの様に踏み込もうと主張する。もう一人はそれ以上に住人を犯人だと決めてかかり、念のため警官隊を呼ぼうとまで主張する。これで単なる思い込みだったら大変な事になる所だったが、偶然にも九号室は犯人のアジトであった。
 そこに都合良く残されていたメモから国外脱出のためのルートが発覚し、警察とまぼろし探偵の活躍で事件は解決する。