反核派は佐藤栄作をもっと誉めても良いと思う。

 反核派には、表向き非核三原則を唱えていながら裏では核を持ち込ませていたとして、佐藤栄作に低い評価を与える人が多い。
 その中の極端なケースでは、佐藤家ではなく佐藤栄作個人が受賞した筈のノーベル平和賞について、遺族がそれを返上すべきだ等という封建主義的な主張まである。
 だが表向きの建前があったからこそ、公然と大量の核が持ち込まれるという事態が防げたのである。秘密裏に持ち込む場合は、費用等の関係から量が自然と制限されるし、運用法も限られてくる。
 また建前が無ければ、大規模な政権交代の後でも「これは以前からあった規則を更に厳格に運用しようとしているだけ。」という形での交渉が出来ない事になる。結果、仮に日本の完全な非核化を達成したとしても、建前があった場合と比較して他の案件での大幅な譲歩をアメリカから強いられたであろう。
 だから私は、反核派は佐藤栄作をもっと誉めても良いと思うのである。
 そしてまた逆に、核兵器とイエ制度の両方が大好きという人こそ「佐藤栄作が受賞したノーベル平和賞の正統な継承者である遺族は、愛国心があるなら、非核三原則の権威を削ぐため、即刻ノーベル平和賞を返上すべきだ!」と叫ぶべきであると思うのである。