『虞禮寧子』虚襤褸子篇(蔵院章)

 今日も蛇が自分の尻尾をくわえながら世の中の人々を馬鹿にしていると、突然壺屋がやってきて言いました。
「随分楽しそうにしているけど、よりハイレベルな永遠性を教えてやろう。尻尾を半回転させてからくわえて御覧よ。」
 蛇はこの助言がすこぶる気に入ったので、言われた通りにしてみました。
 するとその途端、壺屋は蛇の輪の両面に蓋を張り付けてしまいました。蛇はこのせいで全く動けなくなりました。
「騙したな!」
「誰が誰に嘘を吐いたというんだい?」
 壺屋は動けなくなった蛇を商品として店に陳列しました。
 しばらく待っていると吉四六がやってきました。
「なんでぇ、この壺には口がねぇじゃねぇか。」
「お客さん、壺の機能を口だけで判断しないでくださいよ。」
「おわっ!良く見たら底もねぇ!」