全話視聴計画『牙狼 -紅蓮ノ月-』(第五〜七話)

第五話 袴垂
 貧しさ故に罪を犯してしまう貧民と、救貧をまるでしない貴族の世界が対比的に描かれている。
 そしてそういう社会だからこそ火羅になってしまった人物も登場する。
 今までの牙狼シリーズで陰我があるとされた人物のほとんどはただの悪人であったので、こうした人物が描かれたというのは、仏教史において親鸞が登場したのと同じ程度に画期的なことであったと思う。
 レギュラーキャラの藤原保輔は、こうした世界に疑問を持ち、検非違使を止めて盗賊になり「袴垂」と名乗る。
第六話 伏魔
 テーマ的には前回の続きである。
 蘆屋道満はかつて南都を滅ぼした強力な火羅を復活させるも、憑依させる予定の貧民が社会悪にめげずに自己の陰我を克服したため、大事にならずに済む。
 前回の話は余りに救いが無かったので、一応救いを用意したものと思われる。
第七話 母娘
 蘆屋道満の作戦は前回とほぼ同じ。「封印されている火羅」というのは過去に完全には倒し切れなかった火羅であるから、それだけ強いので、その封印を解けば効果的だというもの。
 そして今回解放した火羅は、星明の母が娘を守ろうとして憑依されたものであった。
 幼い頃の星明が火羅に狙われたのは、将来の脅威になると思われたからである。火羅の側でそこまで高等な戦略が立てられるという事は、ライゾンが魔戒騎士養成所を襲ったのも意図的なものであった可能性が高くなる。
 星明が独力で戦おうとしたため、雷吼は置き去りとなる。しかし星明の祖父である晴明が鎧の封印を解いてくれたので、後を追う事が可能となった。
 星明は火羅化した母を、長年この日のために磨いてきた魔導具に変え、勝利する。今回は蘆屋道満側に成果は無く、主役側の戦力強化が一方的になされた話であった。
 戦いの後、結局また鎧は星明に封印されてしまい、雷吼の星明からの独立は延期となった。それでももう一人の封印を解放できる者がいるというのは、緊急事態等においてなかなか便利そうである。