時勢の変化に鈍感であると大声で告白する人々

 もしも飲酒運転で有罪判決を受けた若者が、老裁判官に向かって、「お前達の若い頃はもっと罰が軽かったはずだぞ!」と吼えても、まず誰も共感しないであろう。
 ところが国家の行為に関しては、国際法における条約・慣習の変化を度外視して、前述の若者めいた発言を平気でする人やその発言に共感する人がそこそこいる。
 例えば、第一次世界大戦後から第二次世界大戦までの間の日本の軍事行為を庇う言説の中には、「かつて白人がやった事に比べれば些細な事だ。」というものがある。
 また、第二次世界大戦後の北朝鮮の行為を庇う言説の中には、「かつて日本がやった事に比べれば些細な事だ。」というものがある。
 この二つの発言を同一人物がしているのならばまだそれなりに面白いとは思うのだが、それぞれの発言者は互いに仲が悪い場合が多い。
 欧米列強を引き合いにして日本軍を庇ったり日本を引き合いにして北朝鮮を庇ったりするのが悪いとは言わない。ただし、「かつてやった事」ではなく、「当時やっていた事」と比較しなければならない。