世襲とは世代交代でもある。

 北朝鮮における最高権力の世襲は、日本では一般に否定の対象である。そして実は北朝鮮国内においても、金日成の最も優れた後継者が偶然にも金正日であったという論法が使われているという点を重視すれば、世襲は「否定」されていると言える。
 そうした中で北朝鮮世襲を擁護するというのは、最近のミサイル騒動に喩えれば、「あれは人工衛星ではなく軍事ミサイルだ。だからこそ素晴らしい。」等と主張する様なものであり、日朝両国民から袋叩きにされかねない。
 それでも敢えて主張するのだが、私はどうせ独裁なら世襲の方がまだましではないかと思うのである。特に北朝鮮の様に頭の固い元老達が大きな顔をしている国では、せめて最高指導者だけは時として一気に30歳ぐらい若返ってくれなければ、指導層の思考様式は永遠に停滞したままであろう。
 金正日の後継者問題についても、「民主化」等の現実を度外視した理想論を除けば、金正男こそが相対的に最も良い選択肢であると思われる。彼には自由社会の文化についてもそこそこの理解があるだろうから、近隣諸国にとっても彼の後継は望ましい事態なのではないかと思う。