ある病気

罹患してみるまでは、どう苦しいのかは判らない。

判らないから、患者を傷つけてしまう。

罹患してみると、傷つけてくる相手が憎くなる。

かつて自分がその一員だった事も忘れて。

やがて全てを思い出し、苦痛を苦痛のまま受け入れる。

この境地こそ、苦痛の対価である。

最期に、無病息災のまま自ら涅槃へ旅立った人間の偉大さを知る。