私が時々占いに頼っていると言うと、一部の友人は驚く。
驚かれる度に私が説くのは「ビュリダレの驢馬」という例え話である。これは、合理的な驢馬から等距離に同じ魅力のある餌を置くと、驢馬はどちらを先に食べるかで迷い続けて餓死してしまうという話である。
そういう事態に備えて、「迷ったら占いに頼る。」という規範を先に作っておくのは合理的な態度である。
合理主義的な儒学の歴史においてその神秘性を徐々に減少させながらも『易経』が長く生き残れた理由の一つは、このビュリダレの驢馬にあるのではないかと、私は推測している。
占いが事実上出来ない様な状態に置かれた場合に頼るものも決めておけば尚良い(参照→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20080611/1213195245)。
自分を「左翼」とか「右翼」とか先に定義してそれを規範にまでするという態度は、原則としては愚かしい。しかしこうした極限的状況においては、それは一転して最も合理的になるのである。
映画『エアフォース・ワン』で、大統領が爆弾の四色ある配線のどれを切るかの決断を迫られた際に国旗の色を基準にした場面は、しばしば嘲笑の対象となっているが、実は普段アメリカの狂信的愛国主義を馬鹿にしている人こそ、あそこで「多様なものの見方」を学ばなければならないのである。
余談になるが、ゲーム『バイオハザード3』のライブセレクションでは、逡巡はしばしばどちらの選択肢にも劣る結果を惹起していた。しかもこれは、目的によっては稀にどちらも選ばない事こそ最良の選択肢であったりするのである。
「高祖嘗試觀諸子意識 各使治亂絲 帝獨抽刀斬之 曰 亂者須斬」(『北斉書』文宣帝紀より)
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