社会民主党を喧伝するボランティア部隊の皆様へ

 社会民主党福島瑞穂氏の頓狂な発言は、しばしばマスコミの報道や個人のブログで嘲笑の対象となっている。
 しかし本人に自覚があるかどうかは別として、現在の社民党にとって氏が党首として奇妙な発言を続ける事こそ、最も安上がりで効率の良い宣伝工作になっているのだと、私は見ている。
 今の自由民主党を信任しない選挙民の行動を類型化してみよう。
 まず早期の政権交代を望む人は、民主党に投票するだろう。
 政権は交代しなくていいいから内閣だけを少し左傾化させたいという人は、公明党に投票するだろう。
 政権交代は遥か未来でいいから「確かな野党」が必要だという人は、日本共産党に投票するだろう。
 昔の自民党なら好きだったというメッセージを伝えたい人は、国民新党に投票するだろう。
 極言すればこの四党は、選挙活動なんかしなくても相当の票が見込めるのである。
 しかし社民党にはその存在自体が一つの魅力になっているという特徴が無いのである。
 だから常に何か目立つ行為をし続けなければならない。
 そして現在の議席数から判断するに、大半の有権者の顰蹙を買ってでも一部の熱烈なファンを獲得するというのは、非常に賢い戦略である。企業に例えるなら、隙間産業の様なものである。
 最近の北朝鮮のミサイル騒動の際、社民党よりも相対的に論理的な政府批判を繰り広げていた他の野党の立場は、マスコミにはほとんど報道されなかった。彼等は「野党席からも失笑」する事で、辛うじて社民党と異なる立場の野党が存在するという事をアピール出来ただけであった。当時の与党にとって社民党程有難い援軍は無かったであろう。
 社会民主党を潰す目的で福島瑞穂氏を笑い者にする記事をブログに書いている人には、それが本当に社民党にとって打撃になっているのか、今一度考えてみて欲しい。
 また日本を右傾化させる事を目標に社会民主党を潰そうとしている人には、それが本当に自民党にとって利益になるのか、今一度考えてみて欲しい。
 最後に余談。これは本気でその存在の可能性を主張すると陰謀論になってしまう話だが、負に負を掛けると正になる様に、始めから自・公・社の三党の繁栄を狙って福島氏の確信犯的なボケにネット上で適切なツッコミを入れる部隊の存在を妄想してしまった。
“Goldstein was delivering his usual venomous attack upon the doctrines of the Party -- an attack so exaggerated and perverse that a child should have been able to see through it, and yet just plausible enough to fill one with an alarmed feeling that other people, less level-headed than oneself, might be taken in by it.”(ジョージ=オーウェル著『1984年』第1部第1章より)