自由民主党と日本維新の会等の自民党以上に右寄りな政党とが連立すれば、極右政権が誕生すると予測して、これに期待を寄せたり逆に怖れたりしている人を時々見掛ける。
しかし私は仮にそんな政権が誕生しても、極右政権になる確率は低いと考えている。
まず現状を御覧頂きたい。現在の政権は自民・公明の連立であるが、政策において公明党の色は極端に薄い。
また自民党はかつて社会民主党・新党さきがけとも連立を行ったが、やはり彼等の主張はほとんど政策に反映されなかった。
つまり自民党にとって連立内閣とは、自己への不満票の一部を体制内に回収するための装置としての意味合いが強いという事になる。
現在の安倍内閣では、公明党が体制の中で左翼を演じてくれているからこそ、左翼票の一部を公明党に譲りつつ、右派を喜ばせる言動を大胆に行って維新の会・みんなの党・結いの党の存在理由を奪っているのである。
こう説明しても、「ナチスも初めは不満分子が体制内に取り込まれる形で政権に入ったではないか！」と反論し、なお希望または恐怖を捨てない方もいるかもしれない。
だが日本の支配層はワイマール共和国の支配層よりもずっと強かだ。原則として自民党は伸び代の大きな政党とは組まない。放っておけば徐々に衰退しそうな政党と組んできたのである。例外的に、まだカリスマ性の強かった小沢一郎率いる自由党と組んだ事が一度だけあったが、この時は公明党を対抗馬として尊重してみせる事で自由党に掣肘を加え続けた。
よって維新が政権に入る時は、維新の凋落が決定的になった場合か、あるいは「自公維」等の形になる場合かの、どちらかであると、私は予測している。そして右派の台頭を抑えた事に安心した自民党が今度は一気に左旋回して左翼票の取り込みに勤しみ始めるという顛末になる可能性も高いと考えている。
最初の数年は、傀儡の総理大臣にして貰えたり、「比例は維新に」と言って貰えたりするかもしれない。だが年を経て政治の連帯責任が重くなってくるに従い、そうした配慮も消えていくであろう。
