政党は、なるべく多くのカルトと全方位等距離交流をして欲しい。

 かつて、ほとんどの新興宗教自由民主党(以下、「自民党」と表記)にだけ票を売っていたものである。
 その頃の自民党はカルトの総合商社とでもいう様相を呈していたし、これに不満を持つ者も多かった。
 その後、マルクス主義を奉じない野党が続々と現れ、また自公連立により自民党への影響力については創価学会の一人勝ちともいうべき状況が続いた事もあって、幾つかの新興宗教は時に自民党以外の政党とも組むようになった。幸福の科学の様にほぼ完全な独立を果たした組織もある。
 複数の新興宗教自民党への影響力の総和を、単純な数の足し算で把握する人の中には、これを歓迎する者もかなり多かった。
 しかし、「ほぼあらゆるカルトと均等に付き合える者こそが、実はカルトと一番遠い位置にある」という考え方も成り立つと、私は考えている。
 例えば「日蓮をどの程度尊敬するか?」というのをx軸とした場合、日蓮系カルトが「念仏無間と学校教育で教えなさい」と自民党に依頼してxをプラスにしようとしても、自民党法然系・親鸞系カルトと同じ程度に深い仲であった場合、「それは親鸞系団体がうるさいので無理です。その代わり、日蓮を誹謗する教育も阻止してみせます。」と上手い事を言って、xの値を0に引き戻す事が出来たのである。
 そうしてあらゆるカルトの影響を均等に受けた場合、ほぼどの軸においてもベクトルが中和されてカルトの影響は0に戻り、せいぜい「宗教法人への課税を甘くする」というz軸のみがプラスになるだけとなる。
 ここ数年の自民党には「創価学会の影響だけを受け過ぎている」という批判があり、また最近では「日本会議の影響を受け過ぎている」という批判も出てきた。これにつき、「自公連立を解消して、日本会議派を追い出せば、自民党は一気に生まれ変わる!」という主張もあるが、私にはそう単純に上手くいくとは思えない。
 そういうわけで私は、政党にはなるべく多くのカルトと全方位等距離交流をして欲しいと思っている。その「距離」が無限大であれば尚の事良いのであるが、当座は「等距離」にする事が先である。