以前紹介した唐沢俊一検証本(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20090908/1252347436)の第二巻を中野で入手してきた。
外観はkensyouhan氏の12月27日の日記(http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20091227/1261892289)の写真にある通り漆黒であったため、積み上げられた検証本の一番上に在ったものには大勢の人の指紋が大量に付着しているのが見て取れた。本屋には本屋なりの深い考えがあったのかもしれないが、棚には見本を一冊だけ置いておくやり方の方が良かったのではあるまいかと、私は思ってしまった。
これと同時発売の『トンデモない「昭和ニッポン怪人伝」の世界』の方は、書き下ろしの部分が少なかったため(参照→http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20091228/1261973646)、購入の是非を数分間迷ってしまった。最終的に決め手となったのは、表紙に書かれていた可愛いキャラクター達が中身でも何度か登場していた事である。
kensyouhan氏達の動きを、私は強く支持している。
一つだけ危惧しているのは、唐沢氏の仕事が減っても、それ以下の人材が後釜になるだけで終わる可能性がある、という事である。
というのも、名前の最後の文字が「一」で、実家の影響で薬学を齧り、眼鏡と被り物でキャラ作りをしている等、数多くの唐沢氏との共通点がある本多勝一氏の事を、最近ふと思い出したからである。
本多勝一研究会(http://www.geocities.co.jp/WallStreet/8442/)等の活動によって本多氏の影響力が低下した時期に辛淑玉氏が週間金曜日の編集委員に就任したという一件が、頭に思い浮かんだのである。
次に本多氏の宿敵だった山本七平氏の事も思い出した。山本氏は、余り厳密とは言えないが売れ行きは良い日本論を多数書いた人物である。この山本氏の日本論が著者やその追随者の死没や高齢化によって徐々に忘れ去られ始めた頃に、「画期的日本論」という触れ込みで登場したのが、読書家の間で悪名高い『国家の品格』(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20080405/1207330218)だったのである。
本多氏をめぐるこうした事例が、私に「駄文を生む構造に踏み込まなければ、n流のライター個人が消えても(n+1)流の後継者が出現するだけではないか?」という危惧を抱かせているのである。
しかし至誠天に通じたのか、最近kensyouhan氏の真摯な検証姿勢が編集者をも動かし始めた(参照→http://homeless-editors.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-3bd0.html)。
この波紋が良い形で出版業界に拡がれば、私の心配は杞憂で終わりそうである。そうなる事を祈りたい。
- 作者: 唐沢俊一,ソルボンヌK子(絵)
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2009/05/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 藤原正彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
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