温泉やプール等における「入れ墨お断り」等の規則が人権侵害か否かについては議論がある。最近その種の規則を無視した人物が逮捕されたため、ネット上では大いに議論が盛り上がった。
今回の記事では、その論争には直接的に関わる積もりは無い。一応議論がより深まる事を願い、「施設が公営か私営かで場合分けしてみるのも良いのでは?」とだけ論客達に助言しておきたい。
今回の主目的は、施設にとって入れ墨への対応の選択肢は、絶対禁止か完全無制限かだけではないと広く伝え、その中でも比較的まともそうな案を幾つか提示する事である。
まず第一に、件の規則に「自己の意思に反して入れ墨を彫られた事を証明出来る書類を持参した方はその限りにあらず。」と書き加える案を考えてみた。
これは谷崎潤一郎の『刺青』がヒントになった。世の中には実際にその種の事件の被害者もいるかもしれない。そうした被害者への二次被害を弱める事は正しい事である。
またアウトローと一緒に入浴する事を恐れている客も、こうした規則の施設ならば入れ墨のある人とも平気で一緒にいられるであろう。
次に、「全て未成年時代に彫ったものだと証明出来る書類を持参した方はその限りにあらず。」というのも考えてみた。
「色んな店で嫌われると解ってて彫ったんだろう。だから諦めろ。」という意味の文を読んだのが一つの切っ掛けになった。未成年の判断力の低さへの救済は民法等にも存在する。
「入れ墨の人は怖いけど、若気の至りで彫った人との入浴だったら例外的に我慢出来る。」という客もいるかもしれない。
他にも、「入れ墨が完全に普通のファッションと見做されている国からの旅行者は例外」といった施設が在っても面白い。
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