金正恩の実績作りを最大限に活かせ!

 北朝鮮が日本人拉致の事実を急に認めた時、日本ではこれを評価する声よりも長年の嘘を糾弾する声の方が大きくなった。この世論により、対話は事実上打ち切られた。
 北朝鮮政府風情に厳しい規範を適用しようとした日本国民は非現実的であったし、民主主義国との外交で相手国の世論を不用意に度外視した北朝鮮政府は世間知らずであった。
 そうした経緯により、最初の五人以外の拉致被害者の帰国は相当難しいというのが大方の見解であった。
 だが現在の北朝鮮は、若き金正恩の後継者としての実績作りに必死である。この風潮を活用すれば、新たな進展も可能ではないかと、私は思う。
 日本側から「天才である正恩様が、偉大な父親ですら長年見抜けないでいた一連の拉致事件の真の黒幕の正体を暴き、軟禁状態にあった被害者達を救った!しかもこれを交渉材料に、日本から多くの物品の輸出解禁という成果を勝ち取った!」という筋書きを用意して、密かに提案してみてはどうだろうか?