何故サマンオサ王は投獄されるだけで済んだのか?

 『ドラゴンクエスト3』の魔王軍の侵略の手口は、前二作とは異なり、自派の怪物を世界中の要人に変身させて成り代わらせた後に悪政を敷かせる、というものであった。ゲーム中の情勢を見るに、世界各国が孤立主義を採用している一方、いざとなれば諸国が簡単に団結出来る程度にはヒト・モノの移動が活発である事が窺えるので、これは優れた方針であったと思われる。
 この方針の犠牲者としては、ジパングのヒミコとサマンオサの王が挙げられる。ここで不思議なのは、本物のヒミコは既に殺されていた事が示唆されるのに対し、本物のサマンオサ王は投獄されるだけで済んだ事である。何故サマンオサ王に変身したボストロールは、サマンオサ王を生かしておくという危険な措置を敢えて採用したのであろうか?
 思うに、「へんげのつえ」と「ラーのかがみ」という二つのアイテムにこそ、この謎を解く鍵がある。
 ボストロールを倒すと、彼が使用していたと思われる「へんげのつえ」が手に入る。またボストロールの正体を暴ける「ラーのかがみ」を、ヒミコに変装中のやまたのおろちに使用しても何も起こらない。
 この事から、ボストロールの変身術は、道具に頼る必要があり、なおかつ簡単に破られてしまうものであった事が解る。変身術においてやまたのおろちに劣るボストロールには、生きたモデルが必要であり続けたのではなかろうか?

ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

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