ラダトーム王が武器屋に潜伏した真の理由

 昨日の記事(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20110326/1301134909)で、『ドラゴンクエスト3』の魔王軍の侵略の手口が前二作と比較して独特である事を強調した。そして、ハーゴンもまた当初はバラモスと同じ手口を用いようとしていた形跡があると、私は見ている。
 『ドラゴンクエスト2』における、以下の四つの事実がその根拠である。第一に、大灯台グレムリン等、ハーゴン軍には人間に変身出来る逸材が確実に存在する事。第二に、ハーゴン軍による直接的な侵攻を受けてはいない筈のローレシア城に、ハーゴン軍の有力者が投獄されている事。第三に、ラダトーム王が、王宮より警備が手薄な筈の武器屋に、敢えて身を隠している事。第四に、ゲーム開始時に、ローレシア王がたった一人の瀕死のムーンブルク兵の発言を鵜呑みにして、 即座に息子にハーゴン暗殺指令を下している事。
 おそらくハーゴンは当初、部下に人間の有力者への成り代わりを命じたものと思われる。しかしローレシアサマルトリアムーンブルクの王はロトの子孫であり、デルコンダルの王は自分との間に柵が存在しないコロシアムにキラータイガーを平気で放つ豪傑である。じごくのつかい風情が一対一で勝てる相手ではなく、この作戦は失敗に終わった上、少なくともローレシア王には秘密の一部が漏れてしまった。当然ローレシア王を通じて、ハーゴンの存在とその部下の能力は世界中の王に伝わったであろう。
 ラダトーム王だけは常人であったので、成り代わり作戦を撃退し続ける自信が無いため、敢えて臆病者を装って武器屋に潜伏したものと思われる。彼が実際には臆病者でない事は、「はなす」コマンドの反応を見るだけでも明らかである。また、ムーンブルク城の付近一帯が毒の沼地になった事を考えると、ハーゴン軍を怖れた臆病者が一般人を装って王宮の外に住むというのは、有り得ない事である。ラダトーム王は、王国における自分の権威を意図的に下げる事で、自分への成り代わり作戦を封じたのであろう。
 バラモスは、出現地付近のネクロゴンド・テドンに正攻法を用いて橋頭堡を築いた後は、成り代わり作戦に転じた。初代『ドラゴンクエスト』のりゅうおうも、砂漠の中にあって補給の続かないドムドーラを辛うじて落とした後は、王女を人質にする等の謀略を重んじた。ハーゴンは逆に、まず謀略を用い、それに失敗した後にムーンブルクに正攻法を仕掛けたのであろう。だからこそ、ローレシア王はムーンブルクの敗残兵の発言を頭から信じたのであろう。

ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

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