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内容は、面堂流通チェーンに雇われた八名の立ち食いのプロと、友引商店街側の八名のメンバーとが、大食い勝負をするというものである。
大食い大会のルールは極端に単純で、出場者全員が様々なメニューを食べ続け、先に全員が席から離れた方の負けというものである。八対八で戦う事の意義がほとんど感じられないルールである。
登場時に錯乱坊が一生懸命解説した多様な立ち食いのプロ達が、大会開始後にあっけなく退場していく様が、それなりに面白い。
また、けつね狸のリュウとその弟子で友引商店街側に助太刀したけつねコロッケのお銀との師弟対決が、一見すると対決の中心であるかの様に描かれているのだが、前述の極端に単純なルールのせいで、二人の間の勝敗は全体の勝敗に全く貢献していない事が、冷静に視聴すると解るのである。
一方、リュウが倒れた後も面堂側で最後まで生き残っていた牛丼の牛五郎は、最後に席から離れた際には遠くから小さく描かれているせいで、消去法を用いなければ何者であるかすら判らない。しかも消去法を用いるには、立ち食いのプロ達の名前と容姿とを、全部覚えておかなければならないのである。リアルタイムの視聴者の内、牛丼の牛五郎の奮闘振りに気付いたのは、おそらく1%にも満たなかったであろう。このギャップもまた面白い。
友引商店会側のメンバーを倒れていった順に並べると、こたつ猫(不戦敗)・牛丼仮面・諸星あたる・ラム・メガネ・錯乱坊・けつねコロッケのお銀・サクラ(勝利)である。
これは、第26話「地獄のフルコース」における「あたる<錯乱坊<サクラ」という序列と整合している。一方で、あたるが大食い勝負でレイに勝ったという原作の設定との親和性が低い。第5話「変身美男レイが来た!」で決闘の方式を原作と変えたのは、中々に素晴らしい決断である。
面堂側のメンバーを倒れていった順に並べると、中辛のサブ・クレープのマミ・ホットドッグジョー・大盛のマサ・ハンバーガーのテツ(ハプニング)・回転焼の甘太郎・けつね狸のリュウ・牛丼の牛五郎(ハプニング)となる。
テツと牛五郎は、実際にはサクラより強かった可能性を残している。『立喰師列伝』におけるハンバーガーのテツと牛丼の牛五郎だけが大食いを武器にしていた設定と、非常に親和性が高い。
とはいえ、立喰師列伝におけるけつねコロッケのお銀は、主に1950年代に活躍していた人物と思われるので、たこ焼のめぐみ亡き後に女子高生をやっているとは思えない。これは襲名した別人と見做すべきであろう。
余談だが、「けつねコロッケのお銀」の名を、押井作品以外でも発見した経験が、私にはある。私の記憶が正しければ、樋口明雄著『ドラゴンクエスト2 悪霊の神々 下』(双葉社・1987)において、ペルポイの町の牢獄の囚人の一人として登場していた筈である。中々に珍しいお銀の目撃情報だと思われるので、未確認情報ながら発表しておこうと思う。
最後は、私が最近食べた、けつねコロッケ蕎麦とけつね狸蕎麦の写真である。特に後者は、正規のメニューではない所を、交渉して無理矢理作って貰ったものである。私も既に立喰師か?
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