『BLASSREITER』(ブラスレイター)全話視聴計画(第11・12話)

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第11話 黙示録の序奏
 今までにない規模でデモニアックが発生する。だが駆けつけた第三班はやはり強力で、この事件にも圧勝を収める。
 しかしこの大事件は陽動であり、ちょうどその頃、ベアトリスに寝返ったウォルフの内部攪乱により、XAT署内で隊員が次々と融合体化し、暴れる。絶体絶命の窮地に陥ったため、拘束されていたヘルマン・アマンダも緊急の戦力として復帰に成功する。
 また折角デモニアックに勝利した第三班も、本部に連絡に行ったレーネとクルツを除いて、全機がベアトリスに破壊される。今までは単なる陰謀家として描かれていた彼女だが、今回からは戦闘員としての活躍も始まる。
 騒動の中ジョセフは脱出し、ベアトリスに出会う。彼女の発言によると、大規模な作戦を行ってXATを壊滅させた理由は、ジョセフを自由の身にするためでもあり、またXATの背後にいる真の敵を表舞台に引き摺り出すためでもあったとの事。
 そして実際にヴィクター局長はこの直後から服装を制服から宗教的なものへと変え、XATの役目が終わったという判断を下す。そしてメイフォン隊員にのみ、原隊への復帰を命じる。
 それ以外の生き残った第一・二班の隊員は小部屋に籠城する。ウォルフは勝ち誇り、感染源が自分である事や、この感染が新時代に適応出来る存在へと部下を変化させるための善意のものであった事等を放送で明かし、隊員達に投降を呼びかける。しかし隊員達は人として死ぬ方を選び、最後の抵抗を開始する。
 その頃、ベアトリスも腕前を確認するという建前で、ジョセフとの戦いを始めていた。
第12話 審判の日
 ザーギンはジョセフがやがて強くなるかもしれないという理由から、彼を殺さないどころか彼なりのやり方で、こうしてXATからの解放の手助けまでした。
 ベアトリスはその命令に従っているかに見えたのだが、ジョセフとの戦いの中で徐々に本性を現し始める。ザーギンの期待を受けるジョセフへの嫉妬の感情から、彼を殺そうとまでするのである。しかしこの行為をザーギンに見咎められたため、ジョセフはまたしても生き延びる。
 隊員達は感染源がXAT署内の全ての飲料である事を突き止める。それは、ほぼ全員が感染者である事の証であるとともに、厳しく拘禁されていたヘルマン・アマンダだけは無事である事の証明でもあった。
 また現時点では何故感染しなかったのかが不明なメイフォンも、外部から脱出ルートを伝える。
 こうして隊員達の最後の戦いは、単なるウォルフへの復讐戦から、人間を守るという普段通りの任務へと昇華する。「自棄」になりながら「自暴」ではない状態で最後の任務を遂行する彼等の姿は、ひたすら美しい。
 この戦いで隊員達から飛び出した名言は非常に多い。文字媒体で一々紹介していては、抜粋というよりは脚本に近いものになってしまいそうな程である。私が本作中でこの第12話を最も愛好する理由は、専らこの点にある。
 前回ウォルフが真相を伝えなければ、この格好良い隊員達はそのまま小部屋に籠城して徐々に融合体になっていったであろう。これはウォルフの大失敗であったと言える。この経過だけに着目すると、ウォルフは手にした力に酔って頭が悪くなってしまったかに見える。
 だがウォルフの気持ちも理解出来なくはない。融合体化までの時間に差異がある以上、何も教えないでいた場合には、融合体化が早い順に隊員達は仲間に粛清されていくであろう。こう考えると、最悪の場合には戦闘経験のある部下がたった一名になってしまうのである。それならば真相を教えて説得するというのも、一種のギャンブルとして有り得る選択肢である。
 そしてウォルフに冷徹な計算能力が残っていた証拠に、第三班のレーネとクルツが帰還すると、ウォルフは彼等に自分以外の隊員は全て融合体になったという虚偽の情報を与え、第一・二班との相討ちを狙う。
 しかもこれは単に戦力の削減のみを目的とした計略ではなかった。人間である第三班に迫害される状況を作る事で、相討ち後も生き延びた隊員に、感染した以上は人間からは迫害される一方だという自覚を持たせ、もう一度投降を呼び掛けるというものだったのである。
 しかしレーネとブラッドは表面的には仲違いの最中であったが、二人の間には深い信頼が残っていた。この二人の信頼の強さにより、ウォルフの計略はほとんど成功せず、ヘルマンとアマンダはヘリコプターでの逃亡に成功し、残った隊員も誰一人ウォルフに寝返らずに殉職する。
 それを空から見届けたメイフォンは、泣きながら高性能の爆弾を投下し、屋上にいたウォルフごとXAT本部を焼き尽くす。
 そしてこの爆発の衝撃で、折角脱出に成功していたヘルマン達のヘリコプターが故障してしまう。操縦していたヘルマンはアマンダの乗ったパラディンを射出後、墜落するヘリコプターと運命を共にする。
 ここまでで物語は全体の半分なのだが、今回だけで前半の主要登場人物のほとんどが一掃されてしまった。これはもう「皆殺しの冨野」を超えたと言って良いだろう。