『牙狼<GARO>〜魔戒ノ花〜』全話視聴計画(第16〜19話)

第16話 絶叫
 マユリは、人間が好き好んで恐怖を体験したがる事に興味を持つ。だがそれについて、ゴンザは上手く答えられない。
 常識と見做して長年思考を放棄していた事象について、常識知らずの人物が鋭く新鮮な疑問を突き付けるというのは、ソクラテスの哲学とも通じる王道の手法である。
 今回のホラー「プロファンデス」は、自分の結界を戦場にし、倒された後にも魔戒騎士への嫌がらせが発動する仕掛けを用意しておくという、ダンタリアンに似たホラーであると言える。
 相違点としては、原則として一度に大量の人間を魔界に誘い込む習性を持っている事が挙げられる。だがこのための下準備に人間社会の経済活動を利用したため、直ぐに本拠地が雷牙達にばれてしまい、犠牲者は不法侵入した自業自得な男性一人で済んでいた。

国家〈上〉 (岩波文庫)

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第17話 少年
 少年時代の雷牙が魔戒騎士になる覚悟を決めた夜の話。
 雷牙の十歳の誕生日の夜、涼邑零が雷牙を訪れる。鋼牙との約束を果しに来たらしい。
 零は先ず雷牙の能力を見極めるため、模擬戦闘を行う。ここで雷牙は零の二刀流に苦しみつつも、驚異的な戦闘能力を見せ、合格を勝ち取る。
 この後の移動中に、雷牙は玩具屋の灯りに夢中になる。これは鋼牙の少年時代を意識した場面であると思われる。
 続いて公園の人々の中からホラーを探すという試験が与えられるが、これも雷牙は難無く達成する。
 最後にホラーとの実戦になるが、雷牙はほんの少し前に見たばかりの零の二刀流を応用し、危機を乗り越える。
 いざという時に流派を変えられるというのは、第7話でも見せた能力であったが、その原点がこの夜であったと判明する。
 思えば、今回の牙狼の眼が青いのも、零のパーソナルカラーを流用する事で、鋼牙と零の能力を受け継いだ事を意味していたのかもしれない。
 なお、零は「ホラーを倒せるのは、魔戒騎士だけだ!」と叫んでいた。だがこの夜より過去の時代を描いた『RED REQUIEM』では号竜が既に実用化されていた筈であるし、遥か未来を描いた『闇を照らす者』でも号竜の発展と思われる機械の獣が登場していた。一時的に号竜の使用が禁止された時代だったのか、単なる魔戒騎士としての自負心から来る大袈裟な表現だったのかは、謎である。
第18話 紅蓮
 「闇の狩り師」という立場の魔戒法師の存在が明らかになる。普段から騎士や法師の心を探っており、闇に堕ちた騎士・法師を倒すのが使命らしい。また誰も信用してはならない事から、本来は独立行動を強いられているらしい。
 今回の任務は闇の狩り師である媚空と協力し、闇に堕ちた魔戒騎士「イズモ」を倒す事であった。
 媚空は気配を消すのが上手で、雷牙ですら背後にいる彼女の存在に気付かなかった。格闘能力も高く、クロウを圧倒する。雷牙には八手で負けると直感して漸く協力する気になったらしいが、負けの理由が「剣」であったので、素手同士ならばもっと強いのかもしれない。
 だがホラー「ラテル」に憑依されたイズモの強さは尋常ではなく、雷牙・クロウ・媚空の三人が協力してやっと倒せたのである。闇に堕ちると魔戒騎士は更に強くなるらしい。
 今迄媚空が生き延びて来られたのは、実際に闇に堕ちた騎士を倒すという任務が発生しなかったからなのか、それともイズモ+ラテルが闇に堕ちた魔戒騎士の中でも特に強かっただけなのかは、謎である。
 事件後、エイリスの花には死者を復活させる力があるという伝説があり、それがエイリスの封印を解いた者の動機かもしれないという情報が、媚空からもたらされる。この犯人像について、クロウには何かしら心当たりがあるようであった。
第19話 組曲
 今回のホラー「アビスコア」は、指揮者になって自分の楽団を率いて人を食らうホラーである。彼は普通の人間を食らうのに飽きており、自発的に雷牙に招待状を送って挑戦をする。大して強くないので、これは事実上の自殺行為なのだが、それが彼の芸術の行き着いた果てであったのだろう。自殺志願者を食べた後に招待状を送ったのも、最後の被害者からの影響が強いと思われる。最後はそれなりに満足して死んでいった。
 事件解決後の夜は、雷牙とマユリが出会った夜の月に似た月の夜であったらしい。そしてエイリスの覚醒が迫っているという話題も出た。第1話の二ヶ月後か三ヶ月後であると判る。