『牙狼<GARO>-GOLD STORM-翔』全話視聴計画(特別編・第1〜12話)

特別編
 牙狼シリーズの世界観の紹介と、新シリーズの予告とを兼ねた回である。
 しかし冒頭のホラーについての解説では、「邪心にとり憑く魔獣」とナレーションとテロップで紹介しておきながら、最初に映像で出てきたのはその例にはふさわしくない魔導ホラーであった。いきなり残念である。
 語られるあらすじも、序盤の「二つの短剣をめぐる争い」がさも全体を貫く話であるかの様であり、後から視直すと少々興醒めである。
第1話「剣」
 今回のシリーズの宿敵であるジンガとアミリは、人間をホラー化させて部下にしたり、ラダンの封印を解いたりと、順調に事を開始していた。
 一方、道外流牙と莉杏は、二体に分離して活動するホラー「ヘルツバイ」を倒していた。
 全体的に「二人で一組」という印象が強かった回と言える。
 ヘルツバイは大人しく斬られる事を条件に、その前に一人の人間を食わせろと提案する。
 魔戒騎士について一定の知識がありそうなヘルツバイがこうした提案をしたという事は、過去にはこうした提案が受け入れられた事例もあるのであろう。ホラーが一人の人間を食べ始めた所を背後から斬れば、騎士は相手を確実に倒せ、ホラーは魔界に強制送還前に一回食事を楽しめるのである。勝算が低い騎士の中には、より多くの人を救うため、苦渋の決断をした者もいたのであろう。
 ヘルツバイ打倒後も、別のホラー「ビクロ」が活動している様が描かれ、今シーズンが一話完結型ではないという態度が強く示されていた。
第2話「炎」
 ラダンを封印していた長剣が二つの短剣の合体したものである等、様々な設定が語られた回であった。この二つの短剣という設定もまた、今シーズンの重要なテーマが「2」である事を示している。
 映画で出てきたDリンゴとユキヒメのコンビも再登場し、今後のサポート役になりそうな雰囲気を出していた。
 赤の短剣を狙っていたビクロは倒され、短剣は流牙の手に落ちる。青の短剣はジンガの手にあるので、いきなり膠着状態となった。これでは「二つの短剣をめぐる争い」が余り描けないのではないかと心配になる。
第3話「蝶」
 平和な結婚を目前にした女性と出会い、莉杏は安寧な生活に憧れる。しかし終盤ではその幸せがホラー「ブケリ」によって一瞬で破壊され、やはり平和を守るためには誰かが一生懸命戦わなければならないという事を確信する。
 第三勢力の魔戒法師ガルドも登場するが、短剣については流牙に持たせておいた方が安全だからという理由で、積極的に奪いに来ない。
 ガルドとその相棒の魔導具の語らいから、タイムリミットが次の満月であると判明する。第1話も満月であったので、今回のシーズンは約一ヶ月の戦いを描く作品であるのではないかと、多くの視聴者が考えたと思われる。私もその一人である。
第4話「斧」
 ギガの称号を持つ魔戒騎士の秋月ダイゴが登場する。より多くの一般人を救うためには、時には魔戒騎士は一人の一般人の命よりも自分の命を大切にしなければならないという考え方の持ち主であり、この点で流牙と衝突する。
 かつてのヘルツバイの提案は、流牙とヘルツバイの力量に圧倒的な差が在ったため、こうした倫理上の難問を直接惹起しなかったが、やはり本来は決して捨て置いてはならない問題であろう。
 ダイゴは「俺の管轄」という言葉を使い、高位の魔戒法師であるリュメの指示で動いている流牙すら余所者扱いしていた。かつては日本列島全体ですら管轄が四つしかなく、一つの管轄に複数の魔戒騎士がいたものだが、今では一つの都市ですら細かな管轄に分かれているようである。
 『闇を照らす者』の第7話では、Volcityのみならず多くの都市国家が日本から独立している事を匂わす描写があったが、管轄が細分化されたのもこうした政治の動きに対応しているのかもしれない。
第5話「罪」
 高飛びを希望する人間を騙して、陰我のあるオブジェの傍に監禁し、半ば強制的にホラーにするという事業を、ジンガはしていた。高飛びを希望する人間は何かしらの悪業を背負っている比率が一般人より高いし、居なくなっても「高飛びした」と周囲に思われるだけなので、ホラーを増やすには中々に効率の良い作戦である。
 この時点ではまだ、ジンガがホラーを増やしたがっている理由は不明である。
第6話「額」
 第3話でブケリ発生の原因となった箱は、人為的に町のあちこちにばらまかれたものであった。だが箱に貼られていたシールのマークから、すぐに犯人がアンティークショップの主人「ヴェスタージ」であると判明する。そしてヴェスタージは流牙に苦戦した挙句、黒幕のジンガに食い殺されてしまう。
 シールを意図的に貼って流牙を誘き寄せた積もりになっていたのであれば、自分の力量を見誤っていた事になる。意図的でなかったなら、相当間抜けである。
 ガルドはDリンゴに助言をし、二つの短剣を共鳴させる方法を教える。
第7話「術」
 短剣の共鳴に従い、流牙・莉杏組とジンガ・アミリ組が出会う。ジンガ・アミリが元魔戒騎士・魔戒法師であった事も判明する。
 両者の力量はほぼ同じであったため、ガルドは隙を突いて剣を奪い、一つの剣に戻した上で逃げ去る。戦う理由が消えたジンガ達も去る。
 ジンガの台詞や設定は暗黒騎士呀を思い起こさせるものが多かったが、メシアは既に滅んでいるので、最終目標はまた別にあると思われる。
第8話「筆」
 莉杏はガルドに共闘を持ちかけるが拒絶される。
 その後、色々と論争したり戦ったりもするのだが、お互いに邪魔をしない程度の関係には発展する。
 今回は余り話が進まなかった。
第9話「羽」
 対なる関係が重視される今シリーズの中、一人だけ孤高に見えたダイゴであったが、彼にも心を許せる兄貴分がいた事が判明する。しかしその兄貴分である檜葉セイジは、彼の目の前でジンガ・アミリに殺されてしまう。
 ジンガ達は積極的にホラーを食べている様である。またホラーの餌の質にもこだわりがある様である。彼等の発言を信じるならば、ホラーを増やしていた理由は食べるためであり、人間をホラー化させた後に直ぐ食べなかったのは、人間を食べた後のホラーこそを食べたかったからなのであろう。
第10話「雷」
 何と、次の満月まであと四日しかないと判明する。ここからは時間の流れが非常に遅くなりそうである。
 ラダンが城の様な存在であり、ジンガ達がホラーを食べまくっていたのは、玉座に相応しい存在になるためであったという事も判明する。
 今回のホラー「ゼラーザ」は、使徒ホラーバクギと同じく、送電線を利用してほぼあらゆる場所に登場出来るホラーである。戦闘能力もかなり高い。
 だがゼラーザの存在は単なる陽動であり、ジンガが流牙に邪魔されずにガルドを捕獲するための罠の一環として暴れていただけなのであった。
第11話「罠」
 ガルドは捕まる際に、いつも会話している魔導具を落とす。それを拾った流牙は、その魔導具が意思を持った存在ではなく、単なる通信機であったと知る。通信に従い、流牙・莉杏はガルドの妹のハルナに会う。
 ハルナによると、ガルドが魔戒騎士を憎むのは、本来の故郷が魔戒騎士に壊滅させられたかららしい。
 ジンガが雇ったホラー「ヘデラ」は無事撃退出来たのだが、今回の話で一度朝になってからまた夜になったので、制限時間はあと三日しかない事になる。
第12話「絆」
 流牙たちはジンガからガルドを奪還する。第7話では流牙とジンガは互角であり、今回も流牙対ジンガの戦いだけを見ると互角なのだが、何故この様な一方的な勝利が出来たかというと、アミリが途中からいなくなっていたからである。どこに行っていたかは不明である。
 とりあえず、ガルドも流牙達に協力する事を決意する。これで味方の陣容はかなり厚くなった。