先進諸国の移民の受け入れ問題について、余り論じられていない二つの関連問題

 移民問題については、「受け入れた移民をどう扱うか?」という問題とは別個に、「そもそも何人ぐらい受け入れるか?」という議論がある。経済や人権を論拠にして、日々様々な議論が行われている。
 しかし、私の見聞が狭いせいかもしれないが、これと深く関わる筈であるのに、関連する形では余り論じられてない二つの問題があるように感じる。
 第一は環境問題である。
 例えば、移民受け入れ推進派が「ホモサピエンスの密度がアフリカでのみ高まると、アフリカの緑だけが極端に失われてしまう。少しはヨーロッパに流出させなければならない。」と主張したり、受け入れ消極派が「いざとなったらヨーロッパに行けばいいと途上国の民が思い込む限り、途上国の出生率は高いままであり、人口問題は永久に解決しない。」と主張したりといった議論が、もっとなされるべきではないかと思う。
 第二は途上国の民主化の問題である。
 例えば、移民受け入れ推進派が「足による投票という脅威があってこそ、独裁者は自らの行いを反省するのである。途上国を事実上の強制収容所にしてしまうと、独裁者は安心して国内で悪事を行える。」と主張したり、「本来なら新天地に移住するような活力のある人材の流出を防ぐ事で、彼らを自国の革命家にすることができる。そうすれば途上国は次々と民主化していくだろう。」と主張したりといった議論が、もっとなされるべきではないかと思う。