としま鬼子母神プロジェクトに異議あり!

 池袋アニメイトの側に、池袋保健所が建っている。一階のスペースには、性病や子育てといった性に関する情報を集めたコーナーがある。これから異性と付き合ったり子を作ろうと考えているが知識不足を実感している若者が、アニメイトのついでに気軽に立ち寄れる仕組みになっている。
 その精神といい立地条件といい、素晴らしい税金の使い方だと絶賛したくなるプロジェクトである。
 だがそのスペースの名前が「鬼子母神plus」なのが頂けない。
 「池袋といったら法明寺の鬼子母神」という発想と「子育てといったら鬼子母神」という発想とが、単純に癒着したのであろうが、これは法明寺という特定の宗教法人の宣伝を税金でしてやっているようなものである。
 津地鎮祭事件の判例から、「なぁに、この程度なら裁判になっても合憲とされるさ」と安心したのだろうが、法律以前に道徳として、公権力が特定の宗教を助長する行為はなるべく避けるべきであろう。
 世の中には「鬼子母神なんか架空の存在だ!」と見做す宗教観の人々も多いであろうし、逆に「実在した悪女であり、仏が免罪してもこの私が許さん!」と思っている人もいるかもしれない。そうした多様な世界観に対し、行政は中立でなければならない。
 まして池袋といえば、日本全国、いや世界各国から、多様な人々が来る町ではないか。