歴史教科書の年代、話題ごとに「名目」に着目するか「実質」に着目するかを統一して欲しい。「実質」に着目する場合は用語もより無機的にして欲しい。

 ニュースで読んだのだが、最近の歴史教科書では鎌倉幕府の成立年代をその「実質」に着目して1185年だと教えているらしい。
 だが本当に「実質」に着目するならば、「将軍」や「将軍とその部下達」等の意味を持つ「幕府」という古式ゆかしい雅名を用いるのではなく、「鎌倉武家政権 等の名称を用いるべきであると思う。
 ただし、私はこの改革が行われる以前の歴史教科書の幕府に対する立場を支持している訳でもない。
 三大幕府の成立年については、初代の征夷大将軍が任命された年に揃えておきながら、室町幕府の滅亡の年については実質を重んじて大昔から1573年だと教えてきたからである。足利義昭がその後も征夷大将軍であり続けたのは、有名な話である。また足利氏の将軍については、過去にも将軍としての地位を保持したまま京を追われた事例が複数回ある。だからこの点が、私にはずっと疑問であった。 
 名目に着目するか実質に着目するかを統一して欲しいというのは、幕府関連に限らない。例えば戦争についても、開戦の年月日を名目に着目したか実質に着目したかに合わせて、終結の年月日も同じルールで決定して欲しい。
 なお、一番良いのは紙幅の許す限り名目も実質も教える事であると思う。