四度目の伊豆高原

 伊豆高原の魅力から逃れられません。またまた行ってきました。
 今回の最大のお目当ては、「野坂オートマタ美術館(http://www.automata.co.jp/)」の企画展「珠玉のオ−トマタ Part Ⅱ」です。
 まず「魅惑のへび使い」。動かして紹介するのは初めてだそうです。たった一つのネジが、オルゴールを稼動させつつ、人形の首・まぶた・胸・両手と蛇を動かすのです。
 次は「森の小鳥たち」。小枝の先に止まっているのも含め、七匹の鳥がこれまた一つのネジの力で動き、ふいごの原理によってピヨピヨと鳴きます。
 そして最後は、森下信著『セルオートマトン』(養賢堂・2003)の表紙を飾った事で有名な、あの「手紙を書くピエロ」です。単に手紙を書くだけ作品ではなく、これまた手元の灯りが消えかけると眠りそうになるという情景をネジ一つの力で再現していました。
 この霊妙さを体感してこそ、PEACH-PIT作『ローゼンメイデン』の「まきますか まきませんか」という質問が如何に巨大な分岐だったのかを理解出来ます。
 これで終わりと思いきや、団体客がいる時だけの特別サービスとして「シンキングバードボックス」という超小型のオートマタの実演が行われました。団体さんと遭遇出来て幸運でした。
 その後は一階の喫茶店でアイスクリームを頂きました。なおこの喫茶店は、美術館の入館者でなくても利用出来るらしいです。
 次にバスを利用して、「伊豆ろう人形美術館(http://www.bhwax.com/waxdoll.html)」へ行きました。

 いきなり兵馬俑さんに出迎えられました。馬がいないから正確には兵俑さんかな?なお私の始皇帝兵馬俑への見解についてはこちらをクリック(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20090729/1248816945)。
 中では、蝋人形がガラスケースの奥に飾られ、通路の各所に主としてラテン系の国々の不気味な人形が置かれていました。不気味といっても、「マリアの心臓」に飾られる人形に見られる様な現代西洋人形作家が計算して創った精緻なそれではなく(参照→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20091222/1261408182)、細部を緻密に描かないからこその大雑把なのっぺりとした種類のものです。
 通路は迷宮の様に入り組んでいるので、不気味な音楽でも流せばかなり面白くなったのでしょうが、音楽もラテン系の明るいものでした。
 明治〜今上の四代天皇と現皇太子夫妻の蝋人形もありました。何故か同じケースの中に聖徳太子もいました。
 マイケル=ジャクソンの蝋人形の解説文は1982年頃に書かれたと思しきものがそのまま使われていました。でも「現在最も注目を浴びる世界的な歌手である。」の部分だけは偶然現在的でした。

 ろう人形美術館の近くにあった桜の里。春に来るべきでした・・・。

 大室山登山リフト(http://www.i-younet.ne.jp/~oh-murol/)です。途中から寒風がどんどん強まってきました。この写真も荷物の心配をしながら必死で撮りました。

 中はカルデラみたいになっていて、アーチェリーも行われていました。
 それを取り囲む道は非常に狭く、暴風に吹き飛ばされてそのままどちらかに転げ落ちていきそうな雰囲気でした。一周約1kmだそうです。私は鞄を飛ばされないように押さえ、俯いて進みました。途中で雨だか雪だか判らない飛礫も体中に当たり始めました。

 そんな中撮った写真です・・・。
 さて、厳しい修行が終わりに近付いた頃、急に風が弱まりました。『ラピュタ』で竜の巣を必死で突破したパズーの前に無傷のゴリアテが出現したのを思い出しました。ゆとり世代を憎む老人の気持ちが少し理解できました。
 次に行ったのが「からくり時計博物館(http://www3.tokai.or.jp/karakuritokei-h/)」。ここは本当に行って良かったです。館長はアニメ等で典型化された時計職人の老紳士そのもので、客が私しかいなかった事もあってか色々解説してくれました。
 多くの振り子時計も面白かったのですが、エネルギー保存の法則を振り子以外の形で活かした様々な時計にも惹かれました。
 展示物の中には、「時計師用机」なんてのもありました。
 どの時計もそれぞれ勝手な時を刻み、無数の振り子の音の中で、私は現実の日本時間を忘れてしまいました。この一種の狂気的空間を心から楽しむためにも、時計を外しての入館を個人的にお奨めします。
 因みに私を毎朝起こしてくれるのは、このからくり時計です。

 「恩賜の水銀時計」です。帝國大學を首席で卒業しても貰えません。
 しかも外に出て歩き始めた直後に見つけた建物がこれ。

 本気でアリスゲームを始めたくなりました。
 次に行ったのが「人形の世界ミュージアムhttp://www.bhwax.com/doll.html)」です。かなり離れていますが、ろう人形美術館と姉妹関係みたいです。
 併置されている「パリ・フランス(http://www.bhwax.com/parifrance.html)」の方は安くて品揃えも良かったのですが、ミュージアムはとにかくサンタばかり並んでいました。12月末に訪れたから良かったものの、別の季節だったら途中で飽きていたかもしれません。
 こんなサンタもいました。こいつだけは特殊でした。

 向かいの「ワイルドスミス絵本美術館(http://www.metm.co.jp/)」が休みだったので、そのままバスで伊豆高原駅に帰りました。バスの中から「伊豆アンモナイト博物館(http://www.ammonite-museum.com/)」も発見出来たので、次回はこれらを纏めて制覇する予定です。

セルオートマトン―複雑系の具象化

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Rozen Maiden 新装版 1 (ヤングジャンプコミックス)

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