『サクラ大戦〜桜華絢爛〜』

サクラ大戦 帝国華撃団 OVA-BOX [DVD]

　先に西暦2000年放映の『サクラ大戦TV』を観てしまったが、続いて1997〜1998年にゲーム版第二作に前後して製作されたOVA『サクラ大戦〜桜華絢爛〜』を視聴した。
　こちらは原作であるゲーム第一作の世界観・雰囲気にほぼ忠実である。強いて相違点を挙げると、後述する様に、脇侍や降魔がかなり弱いという点ぐらいのものであろうか？
第一幕　華の都の花いくさ
　藤枝あやめが世界中を駆け巡って隊員を集めている。中国語・フランス語・英語を駆使しており、声優の苦労が想像される。
　光武の開発に、初期から神崎すみれが関わっていた事も判明した。
　延々と前日譚が語られるのかと思いきや、終盤では戦闘ファンの期待に応えるため、降魔が一体登場する。そして生身のマリア＝タチバナ・桐島カンナ・李紅蘭・イリス＝シャトーブリアン（以下、「アイリス」と表記）が四人がかりでこれを倒してしまう。原作では黒之巣会を倒した頃の華撃団が光武に乗ってもなお敵わなかった降魔だが、本作では随分弱い。
　またTV版では史実より30年以上遅れて建築中であった浅草の凌雲閣が、本作ではしっかりと建築済みであった。
第二幕　桜の花に放てよ神剣
　今度は神崎すみれが一人で降魔に勝ってしまう。
　太正十二年春、既に雪が解けた仙台で真宮寺さくらは「桜花放神」の奥義を会得し、そのまま華撃団に入隊する。
　この時点で大神一郎は丸刈りである。
第三幕　春は弥生の初戦闘
　太正十二年三月に製作された帝国劇場のパンフレットに、後援企業として「加山貿易株式会社」の名も見える。
　原作ゲームでは第二作になって漸く大神一郎の前に姿を現した加山雄一だが、この時点で既に偽装する貿易商まで用意されていたという事か？
　今回は脇侍の大軍との戦いが見所。脇侍はこの時点のアイリスでも簡単に破壊出来る程度の装甲しかなく、やはり弱い。但し、数だけは揃えている。また知能については、囮を利用する戦術を用いる等、かなり高そうである。
　心配だった大神の髪は、太正十二年四月に満開の桜の上野公園で真宮寺さくらと出会った時点で、既に相当伸びていた。
第四幕　真夏の夢の夜
　華撃団のメンバーを全員揃えるためか、話は一気に七月に飛ぶ。
　それでもマリア＝タチバナは暑そうな黒いコートを着ている。
　帝都中の人々が、歌劇団＝華撃団である事を既に知っているらしかった。
　ラストバトルでは、アイリス機にも活躍の機会を与えるため、先に大神一郎機が傷だらけになる話の流れが、自然に作り出されていた。見事な脚本である。
　劇場内で暗躍する謎の影の正体については、かなり意表を突かれた。

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