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このシリーズは、第一話が西暦1999年12月に発売され、最終話が2000年12月に発売されたのである。『サクラ大戦TV』の放映期間が2000年4月から9月であったので、原作世界に準拠したOVAシリーズと原作世界を大胆に軽視したTVシリーズとが、当時同時並行で発表されていた事になる。中々に面白い現象である。
第一話 紐育の怒れる刺客
マリア=タチバナに恨みを持つマフィアが復讐を仕掛けてくる。
最初は挨拶代わりに弱い時限爆弾を送りつけてくる。これが爆発した時、深刻な音楽が流れるのだが、この程度の爆発は李紅蘭のせいで帝劇では日常茶飯事の筈であり、どうにも場違いといった感があった。
クライマックスでは、真宮寺さくらとマリアが欧州大戦で使用された巨大蒸気兵器に白兵戦を挑み、勝利してしまう。霊的存在のみならず通常兵器に対しても極端に強いとなると、いつか華撃団の力が戦争に駆り出されないかと心配になる。
第二話 水のある都市
不満を爆発させて家出をしたアイリスが、やはり歌劇団こそが自分の居場所であると気付いて戻ってくる話である。この筋書きが、劇中で練習中の『青い鳥』のメッセージと重なっているので、中々に見事な脚本であると感じた。
当初、主要登場人物を無理に全員登場させるためかと思われた、米田一基と大神一郎が終日釣りをする物語も、最後には重要な伏線であった事が判明する。
ゲームで登場した紙芝居屋の千葉助と紙芝居『少年レッド』も登場していた。
『少年レッド』はカレンダーにもなっていた。それだけ幅広く展開していたら、もう少し見物客が居ても良さそうに感じるのだが・・・。
第三話 キネマの驚天動地
江戸川乱歩の『黒蜥蜴』がモデルであると思われる『紅蜥蜴』が撮影されている。
紅蜥蜴の宿敵はやはり明智探偵らしいのだが、何故か少年レッドも活躍していた。
第四話 人情紙芝居・少年レッドよ永遠に
少年レッドは、ラジオや書籍でも活躍中である。原作者が紙芝居屋の千葉助本人であった事も判明する。
ただし千葉助本人はかなり貧乏そうである。終盤で長屋を地上げ屋から取り戻すために大金を出したのも、彼ではなく漸く世間に評価され始めた緒方星也であった。千葉助が著作権を利用して金儲けをしない理由が、本人の信念なのか、単に御人好しで騙されているのかは、謎である。
地上げ屋は「キ六」という蒸気重機で長屋の住民を圧倒するが、それが神崎重工の関連企業の製品であったため、弱点を知る神崎すみれの助言を得たマリア=タチバナの一発の弾丸によって敗北する。
祖父の会社の関連企業の製品の設計図までしっかり記憶しているすみれは、やはり凄い。
第五話 父と娘と
大神一郎の卒業した海軍の学校は、ゲームでは「士官学校」と呼ばれていた。史実における海軍の士官学校には、兵学校・機関学校・経理学校の三校があったが、ゲームでは大神がどんな学校を卒業したのかのみならず、そもそもこの世界にどんな海軍学校があるのかすら明かされなかったのである。
だがこの話の中で大神は、「兵学校」とはっきり口にしていた。
伝票の整理を嫌がっていたのは、やはり兵学校出身者であるが故のエリート意識だったのかもしれない。
なお、米田一基の発言から、年を取ると霊力が衰えるという設定が語られる。この設定がサクラ大戦シリーズに登場するのはもっと後年であると思い込んでいたので、中々に驚かされた。
第六話 女たちの新時代
真宮寺家に伝わる絵では、異形の存在である鬼が、より人間離れした別の鬼と戦っていた。また真宮寺家では、結婚式で親戚一同が鬼の面を被っていた。
魔を退治する破邪の血統という立ち位置の微妙さが強調されると同時に、これはゲーム第二作の「鬼王」という存在とも密接に絡んでくる設定である。
真宮寺さくらが鬼嫁キャラなのは、出身が鬼の一族だからなのかもしれない。
結局この『サクラ大戦〜轟華絢爛〜』では、最後まで霊子甲冑による戦闘は一度も行われなかった。
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