ドラマチックダンジョン サクラ大戦 ?君あるがため?(通常版)
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物語の時代は、『サクラ大戦V』の戦いの後の1929年の春である。上野公園の桜が満開だったので、おそらく3月下旬から4月上旬であろう。
なお、OVA『サクラ大戦 ニューヨーク・紐育』は、1929年初頭にはまだ生まれていなかった王行智の姪の子供が生まれてから百日経過した記念日の前後の話なので、本作はほぼ確実にこれ以前の話という事になる。
今回も『サクラ大戦4』と同じく、「更に強大な敵が出現した!」という形ではなく、華撃団側の霊子甲冑が動かなくなったという形で苦戦を演出している。
そして実際、今までのサクラ大戦シリーズの中では、戦闘が最も難しい。
敵組織は、過去に三都の華撃団が倒していった組織の資源を再利用している。脇侍・降魔・ポーン・カラミテ・悪念機等の、かつては瞬殺出来た雑魚に苦労する事で、霊子甲冑の有難味が良く解る仕掛けになっている。
ヤフキエルIIも再登場するが、これは元々からして生身で戦った相手なので、さして強くなったという印象は無い。馬に乗っていないせいでロックオンされるとほぼ確実に砲撃を躱せないという辛さが加わった程度である。
過去の敵組織の資源の再利用で一番面白かったのは、「岩のゴーレム」という雑魚を倒すとその正体として南光坊天海の石像が出現する事である。おそらく黒之巣会は勝利を確信していたため、幕府再興の暁に日本中に飾る英雄の石像まで量産していたのであろう。こんな余計なものを作る労力を全て反乱に注いでいたならば、もう少し善戦出来ていたかもしれない。
敵が過去の遺物まで総動員してくるのに対応して、味方も今までのシリーズの華撃団が勢揃いして戦う。このため、紐育華撃団の面々が帝国華撃団・巴里華撃団と初顔合わせをする場面もある。
よって本作はシリーズ史における重要な意味合いを持った作品であると言える。ナンバリング作品ではないからといって馬鹿には出来ない。
のみならず、帝劇を離れていた米田一基・神崎すみれ・風組・薔薇組も駆けつけてくれる。シリーズにおけるほぼ全ての味方キャラクターのファンを満足させてくれる仕掛けと言えよう。
これに付いて一つ残念だったのは、「参謀」を自称する米田がほとんど有効な意見を言ってくれなかった事である。霊子甲冑無しの戦いなのだから、降魔戦争のノウハウが非常に役立つ筈である。陸軍対降魔部隊の唯一の生き残りである米田がもう少し出しゃばってくれても良かったと思う。
今作の設定でもう一つ押さえておくべき点は、イリス=シャトーブリアン(以下、「アイリス」と表記)が人間の傷も治せるようになった事であろう。
『サクラ大戦2』で米田が負傷した際にも、『大神一郎奮闘記』ですみれが足を傷めた振りをした際にも、アイリスが治すという発想は誰からも出なかった。おそらく機械の損傷は治せても、複雑な生体組織までは手が出せなかったのであろう。
だが今作では戦闘中に皆の傷を治してくれる。
のみならず、ストーリーにおいてもアイリスの治癒が間接的に示唆されている。というのも、大神一郎が重傷を負う場面があり、その情報が大河新次郎にもたらされて大河は非常に心配をするのだが、それからほんの少し後に大神はピンピンした姿を大河に見せるのである。これは自然治癒力によるものとは到底思えない。明言こそされていないものの、アイリスの新たな力によるものと解釈するのが妥当であろう。
なお、クリア後には藤枝かえでや加山雄一等の非戦闘員10名を仲間にする事が出来るのだが、これが実に面倒な作業であった。
またクリア後に登場する「大江戸大空洞」と「氷獄深層」は、非常に攻略が難しいダンジョンであった。
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