増税という人気者になる絶好のチャンスを活かせ!

 『老子』に「將欲奪之 必固與之」という考え方がある。「奪いたければまず与えよ。」という意味である。
 政府首脳に遠大な計画があったのかどうかは不明だが、近代日本では僅かな恩寵に欣喜雀躍した多くの中間団体が衰退していった。
 その最大のものは伝統仏教である。廃仏毀釈を推進するかに見えた新政府は、一転して妻帯を罰しないという江戸時代を上回る好待遇を僧侶に与えた。これを喜んだ僧侶達は寺を「イエ」へ再編成してしまった。だがこれで僧侶達は超俗がもたらす権威を急速に失い、世襲化は人材を枯渇させてしまった。
 神道も別の形で衰退した。単なる宗教ではない国教的存在とされた事は、税制等の点では大いに利益があったと思われる。しかしこれは宗教が俗界で台頭した俗人の指導下に入るという事でもあった。現に内務大臣原敬は日本中の神社を大量に滅ぼしている。
 さてここからが本題である。
 朝鮮総連も、事実上の在外公館だの何だのといった名目で、多くの革新自治体から免税特権を与えられた。これを喜んだ総連関係者も多いであろう。
 しかしこうした措置は、「朝鮮総連北朝鮮政府の末端組織だ。」という常識を日本人に植え付けもした。今総連に風当たりが強い理由の一つはこれであろう。
 各地で始まった免税制度の見直しを、総連は危機と見做している様だが、いっそこれをイメージチェンジの良い機会として利用してはどうかというのが私のアドバイスである。
 「我々は本国政府と無関係な平和的な互助会です。免税措置こそ差別です。早く撤廃して下さい!」とでも言えば、周囲から大いに好感を持たれるであろう。
 愛煙家諸氏にも、鳩山政権による煙草税増税は喫煙を社会的に認知させる好機でもあると訴えたい。煙草税が上がれば上がった分だけ、今後厚生労働省がどんなに反煙草キャンペーンを企もうとも、財務省が必ず強い掣肘を加えてくれるだろう。