映画『ひみつのアッコちゃん』は良作!

 前々回の記事で予告した通り(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20120921/1348236383)、『ひみつのアッコちゃん』(http://www.akko-chan-movie.com/index.html)を鑑賞した。これがかなりの良作だったので、紹介したい。
 本筋は、魔法の鏡で大人に変身して大人の世界に半ば足を踏み入れてみた少女「アッコちゃん」の話である。そして彼女が職場等で巻き起こす不適応を通じて、「子供の視点の大切さと限界」・「大人とは何か?」・「良い意味での大人とは何か?」・「努力と結果の関係」といった、誰もが本来向き合い続けなければならない人生の問題に切り込んでいる。
 アッコちゃんは子供の人格のまま大人になったため、発想が自由である。このトリックスター的な能力が買われて、大手化粧品会社の開発室に採用される。当然「意匠権」だの「ペイ」だのといった知識は無いので、大概の提案は却下されてしまう。それでもやはり、消費者の視点・子供の視点というものは宝の山である。一部は検討の対象となる。こういった場面を通じて、大人の鑑賞者は自分の発想の枷の大きさに気付く仕掛けとなっている。
 しかしアッコちゃんのその案の具体的な検討は、難解な有機化学及び数学の知識によってなされる。こうして勉強嫌いなアッコちゃんも子供の鑑賞者も、普段厭々やっている基礎的な勉強の大切さを知る事になる。
 小学校で習う基礎的な道徳や学級会の議事運営の大切さも、強調されていた。小学校の学習内容は中学校以降での学習内容によって「乗り越えられた」と、人は思い込みがちである。算数等については確かにそうした側面が強いであろうが、忘れるべきでない独自の学習内容も小学校の課程には多いと、私も常々思っている。
 少々話が脇道に逸れるが、今槍玉に挙げたばかりの算数すら、小学校の知識が実生活の役に立つ場合がある。例えば、確かに中学校で方程式を習うと鶴亀算の知識が無くても一応は生きていけるのだが、簡単な鶴亀算の問題を筆記用具の無い状況で瞬時に暗算出来る人と出来ない人の間には、徐々に色々な意味で人間としての差がついてくるものである。私は初めて小学生に鶴亀算を教えた時、それが無駄に思えて罪悪感すら覚えたものであるが、今ではその意義を理解している。
 俳優について言うと、まず主演女優の綾瀬はるか氏の演技が実に上手であった。単に「10歳の心を持った22歳」を演じるだけでも難しいだろうに、本作でのこの役を演じるには、10歳状態のアッコちゃんを演じた吉田里琴氏の立居振舞との連続性が必要となる。その悪条件を見事に乗り越えていたため、変身の前後で違和感が全く無かった。一時は、「二人の声を担当する共通の声優でもいるのか?」と邪推した程であった。
 なお、私が愛する『牙狼<GARO>』のヒロインを演じていた肘井美佳氏も登場していた。これも観に行った動機の一つなのだが、台詞が予想以上に少なくて残念!
 また前々回の記事で予告した通り、「久下恵美氏を探す!」という課題にも同行者共々密かに挑戦してみたのだが、ついに発見出来なかった。そして最後のスタッフロールで、「あー、あの人だったのか!」と驚かされた。久下氏のファンは、是非この課題に挑戦して欲しい。

EMOTION the Best 牙狼<GARO> TV-SERIES DVD COMPLETE BOX

EMOTION the Best 牙狼 TV-SERIES DVD COMPLETE BOX