『牙狼<GARO>〜闇を照らす者〜』全話視聴計画(第11〜15話)

第11話『虜 Desire』
 金城グループに反抗的な有力者である男性達を、彼等の好みの姿に変身する事で骨抜きにして食らう陰我ホラー「菩阿羅」が登場。相手に合わせた誘惑が可能なので、かつて同じ女優が演じたウトックの強化版であると言える。
 それにしても「菩阿羅」とは、如何にも漢訳仏典風の名前である。何か典拠があるのだろうか?
 標的の中には金城グループと双璧を成す外資系の実業家の「サム」もいた。Volcityでは金城憲水に次ぐ実力者という事になるが、それにしては彼は随分と若い。
 サムの力と年齢を考慮するに、Volcityの中でこそ多角経営によって財閥的存在となっている金城グループだが、世界経済から見れば所詮は都市一つをガラパゴス的に支配する同族企業に過ぎないと思われる。
 今回は頭の中が金の事で一杯だった莉杏が愛を知り始めるという、莉杏の成長物語であった。猛竜の成長物語と被る点が多かったので、もう一捻りの差異が欲しかった。
第12話『報 Trap』
 変装をしてテレビ局の裏方になった莉杏だが、リベラは莉杏の正体も魔戒騎士との人脈も見抜き切っていた。
 その割には魔戒騎士達の計画は不自然な程上手に運び、指名手配犯の流牙がリベラに殺されて故人となったという偽装をするための映像の撮影・報道に成功する。
 それどころかリベラの身体の一部である舌を切り取り、これを材料にして魔導ホラー探知機まで完成する。
 「本当にこんなにとんとん拍子で良いのか?」という一抹の不安を与えた回であった。
 地図上に出現した魔導ホラーの光は十九体。この内の二体が寄り添っており、これらは尊士とリベラである。リベラはもう舌の治療に成功していた。
第13話『狩 Hunting』
 流牙は白昼堂々と今までの服装で歩いていた。確かにVolcityの住民達は前回の報道により「道外流牙は死んだ」という先入観を持っているだろうが、流石にこれは危険ではあるまいか?
 "KANESHIRO FOODS"の工場では、工場長の妻崎が人間の魂を加工する事でホラーの携帯食を作っていた。
 妻崎がが見ている食材リストに登場する人物の名前は全て和風。だが、上から13人目の34歳女性の姓が"Ohasi"と綴られているのに対し、上から19人目の21歳男性の姓は"Ishikawa"と綴られている。日系人の姓にある「し」の発音のローマ字表記に統一性が見られない。
 妻崎に従ういつものゾンビ顔雑魚ホラー達は、今回は何と太陽光が十分に入ってくる昼の工場内で平気で戦闘を行っていた。第3話とは異なり、魔導ホラーの体の一部なのだろうか?
 今回は哀空吏の成長物語であった。
 楠神流に誇りを持ち過ぎていた彼は、魔導ホラーに苦戦をしても、その対策は楠神流の範囲内での修行や文献による知識の増加しか思い浮かばない。だが天衣無縫な流牙に影響を受け、最終的には泥臭い戦い方で勝利を収める。
 戦闘方法において効率の大切さを学んだ一方で、作戦面においては逆に効率重視の冷酷さは弱まり、人命を重んじる方向へと変化した。これは大量の犠牲者達の生々しい死の映像を見せつけられたのが切っ掛けである。
 今回だけで医者・議員・妻崎と、魔導ホラーを一気に三体も倒した。前回十九体の魔導ホラーの光が確認された際には、やや絶望感が漂っていたのだが、実際の作業はかなり順調である。
第14話『腐 Hyena』
 大嘘吐きの魔導ホラー「ハイエナ」が登場する。人を殺して魂を食らうのではなく、墓場に住んで死人の魂の残り火を食べていたらしい。彼はVolcityの謎を解くための情報を色々と教えてくれるが、嘘が混じっていて判別が難しい。
 そして今までは力馬鹿であった流牙が、今回は独力でこの大嘘吐きとの知能合戦に勝利する。その意味で今回は流牙の成長の証を見て取れる物語である。
 ハイエナに騙された哀空吏と猛竜は、森の中で少なくとも三体の素体ホラーを変身せずに倒す。
 変身せずに素体ホラーを倒すというのは、初代『牙狼GARO>』の第六話の鋼牙が一対一でも随分苦労していた作業である。二対三(以上)で楽勝という事は、既に当時の鋼牙を超えたか、あるいは連携が余程上手になったという事である。どちらにせよ、この二人も随分成長した事になる。
 最終的にハイエナが金城憲水の息子であった事が判明する。
 そして黒幕は、対象が自分が作った魔導ホラーであっても、役立たずは容赦無く粛清するという事も、このハイエナの末路から明らかになる。というのも、第12話の最後で舌を治してもらっていたリベラと、逆に粛清に際して舌を切られたハイエナとが、非常に良い対比になっていたのである。
 また、魔導ホラーとはそもそも「殺戮の闘将ゼドム」が他のホラーを強化して最強の軍団を作ろうとした時に始まったとする情報がもたらされる。このゼドムの設定はレギュレイスに似ている。
第15話『謎 Hint』
 総集編的な回。
 題名とは裏腹に、謎を解くヒントには大してなっていない。