『牙狼<GARO>〜闇を照らす者〜』全話視聴計画(第6〜10話)

第6話『響 Rock』
 魔導ホラーの死体の一部をピックとして利用して才能をカバーするミュージシャンの「シン」が登場。
 「ユーヤ」に憑依した陰我ホラーは弱く、変身する前の猛竜にも全く歯が立たなかったが、シンの音楽で急に強くなり、逆に猛竜を負傷させる。
 興味深い事に、翌日になっても猛竜の怪我が治っていない。鋼牙が活躍していた時代ですら随分優れた薬があったのに、これはどうした事だろうか?猛竜の地位が低いせいなのか、補給が滞っているからなのか、それとも自然治癒力で何とかなりそうな場合は薬が与えられないのであろうか。
 流牙はシンのライヴに乱入し、シンと同じ曲をピックの助力無しで歌い、それでいてピックを使っている時のシンと同程度の感動を観客に与える。流牙の聴覚の強調は今までもあったが、音声のアウトプットも優れている事がこれで判明した。
 初代『牙狼GARO>』は絵画や彫刻といった視覚的な芸術を重んじる物語であったが、今作はこれに対して音声関連へのこだわりが強い。普段も街中の女神像から謎の歌声が発せられているという設定があり、またこの設定が実は最重要級の鍵でもある。
 符礼の助言により、流牙達はメジャーデビューを賭けたシンの録音作業をホラー狩りの手段として使う。
 シンの歌を目指して大量のホラー軍団が集まってくる。だが前回や前々回における魔導具の地図の上の緑の光は、これ程多くはなかった筈である。そう思って良く見ると、ユーヤ以外は第3話で登場したゾンビ顔と同じ顔の連中である。してみるとこいつらも、獲物を確保するために分離行動しているホラーの一部に過ぎないのだろうか?
 流牙との交流に影響され、最終的にはシンは自らピックに頼るのを諦め、実力でメジャーデビューを目指し直す事を決意する。
第7話『住 Dining』
 Volcityの移民局に勤める白波秀行は魔導ホラーであり、彼が担当した移民は次々と無料貸与の豪邸に誘い込まれる。そしてその地下室は実は移民を食材にしたホラーの食堂である。
 後半でこの食堂の客を倒しても、金色の光が漏れたりはしない。よってこの連中は魔導ホラーではなく陰我ホラーなのであろうが、興味深い事に昼の内から食堂に集っている。完全に日光を遮った地下室ならば、陰我ホラーでも日中に活動出来るのであろうか?
 また、地下に来た移民を拘束して料理するのは、いつものゾンビ顔の雑魚達である。ホラー達の会話を聞く限り、この連中に分け前は無い。やはり一個のホラーではなく、他のホラーの一部なのであろうか?
 白波は同じ豪邸を使い回しているのだが、待機中の移民を釣るための豪邸の立体図を踏みつけて台無しにするという、かなり勿体無い振る舞いも行っている。余程ストレスが溜まっていたのであろう。移民を殺すという点については罪悪感が見られなかったので、おそらく自分より弱い陰我ホラーの機嫌を取るのが嫌だったのであろう。陰我ホラーの機嫌を取る作業を魔導ホラーが嫌がるのは、後の第11話でも見られた現象である。
 この話の冒頭まで性欲を中心とした愛しか知らなかった猛竜だが、清純な移民の少女である洲崎類を救った事から、純愛に目覚め始める。三人の魔戒騎士の中では、彼の成長物語が最初に作られた事になる。
 今回は余り音楽と関係の無さそうな話であったが、子細に見ると実は音楽が強調されている場面がある。
 Volcityの外に置かれた観光客向けの英字の看板では、火山の存在が強調されている。そして移民向けのパンフレットを見ると、かつては楽譜をイメージしていたVolcityのマークが火山を背景としたものに変更されたという事が書かれている。これは、Voicityがかつては音楽を愛する芸術的な都市であったのに、近年では火山を観光の目玉とする強欲な都市へと変貌した事を、暗示していると言える。
第8話『乱 Scoop』
 一年前に恋人をホラーに食われて以来、フリージャーナリストとして謎を追っていた風見泰人が、流牙に連携を持ちかける。断られると、他にホラーを目撃した仲間として燕邦・金城滔星の二人まで連れてくる。
 流牙は魔導火の反応だけを見てこの三人を信用してしまう。魔導ホラーに魔導火が効かない事は、鷲頭・白波で既に二度も実証されているというのに、一体何を考えているのだろうか?
 燕邦を通じて情報を得たVolcity幹部の「尊士」は、流牙と陰我ホラーを戦わせる一方で、風見にはその戦いを撮影する絶好の場所を提供する。
 流牙は写真を撮られた事には気付けたのだが、カメラを破壊するだけで風見を許してしまう。魔戒法師の莉杏が風見の記憶を消しておこうかと気を利かすのだが、それも断ってしまう。この甘さが原因で、次回は大変な事になる。
 なお、風見の経歴の報告書を見ると、彼は"BXY203"まで"THE VOL TIMES"の記者だった。これにより。この世界がBXYという暦の204年であると判明した。
第9話『乱 Sonshi』
 カメラを破壊されるも記憶とフィルムを持ち帰る事に成功した風見は、Volcity随一の知名度のニュースキャスターである「リベラ」に、流牙と陰我ホラーの戦いの写真を持ち込む。
 だが実はリベラこそが一年前に風見の恋人を食い殺した魔導ホラーであったために、写真は流牙が一般人を殺害している場面へと改竄され、流牙は指名手配犯となる。
 これは流牙の甘さを強調する話である。だがVolcity上層部が平和の演出を中止してでも追い詰めたい人物としてマークされたという点を重視すれば、流牙の強さの証明でもある。
 第1話でも確認された、戦闘は強いが魔戒騎士としては二流というこの流牙の設定は、本来師匠である符礼の失点でもある筈なのだが、劇中ではそれを咎める声は自他共に聞かれなかった。
 魔導ホラーとしてのリベラは、裏面が風見の恋人を食い殺した残虐な顔をしており、表面は一見柔和なイシュターブ風の顔をしている。これは表の顔と裏の顔を使い分けるリベラの性格の反映であろう。日本の伝統的な二口女の発想を受け継いでいると言える。
 後半では尊士が三人の魔戒騎士を相手に優勢に戦いを進める。符礼が援軍に来た途端に逃げるが、これが敵の数を怖れたためではない事は、後に明らかになる。
第10話『誓 Promise』
 SG1隊員の坪井正臣とその息子の浩輝の親子の物語。正臣は父親としては駄目な人間だが、父を知らない流牙はそんな親子でも羨ましく思う。
 父親という存在への屈折した思いについては、後に莉杏や金城滔星に関しても描かれる。よってこれは、作品を通じて重視したテーマの一つであると思われる。
 浩輝が聴いていた音楽は、第6話でシンが歌っていたもの。どうやらあの後、シンはかなり迅速に正攻法でデビュー出来たようだ。
 流牙の情報提供を呼び掛けるSG1のポスターが登場する。賞金は三億。貨幣の単位は"V"で始まるものらしい。「ボルシティドル」とかだろうか?