『牙狼<GARO>〜闇を照らす者〜』全話視聴計画(第1〜5話)

 この約半年間、『牙狼GARO> 〜闇を照らす者〜』の全話視聴を密かに進めていたので、一気に公開したいと思う。文章の大半は第24話を視聴した後に書いたものなので、後知恵の部分がかなり含まれている。
 主人公達を最初に見たのは今年の三月二十三日の魔界ノ宴(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20130324/1364076597)である。
 道外流牙が一徹者、楠神哀空吏が名家出身の沈着者、蛇崩猛竜が女好きの楽天家。それぞれ旧作の山刀翼・冴島鋼牙・涼邑零のイメージを継承していると言える。
第1話『流 Ryuga』
 魔界ノ宴では、鋼牙が引退に際して岩に突き刺した牙狼剣を、流牙が抜く事で牙狼の継承が行われていた。この話でも、やはり牙狼剣を抜いて後継者になる場面があった。
 今回は流牙の性格・能力の紹介といった色彩が強い。ホラーには容赦が無い一方で、相手が人間だとそれが敵対者でも負傷させないように気遣う心根の持ち主。戦闘能力は滅法高いが、ホラーとの戦いにはまだ慣れていない。そして聴覚系の特殊能力は、後に視力を失ってもそこそこ戦えた事への伏線でもある。
 流牙は符礼法師からの指令書に従い、舞台である独立都市国家のVolcityにやって来る。これに際して、後に重要な役割を果たす金城滔星のステーキショップの前を通過する場面もある。
 ホラーが動かしていた花嫁を衆人環視の中で流牙は殺すが、ニュースでは報道されない。こうしてVolcityの優れた体感治安が報道管制によって作られた偽のものである事が判明する。
 空中に立体映像として流しだされるニュースや、魔戒法師が操る機械獣の性能の高さから、本作が描く時代が『牙狼GARO>〜MAKAISENKI〜』よりも相当未来である事も判る。
第2話『波 Gold wave』
 作品の海外展開を見据えてか、Volcityで使用される文字媒体は英語のものが多い。しかし今回は日本語で書かれた工事の看板が登場する。
 この看板に書かれた会社の電話番号にはアルファベットも混じっている。少なくともAからYまで使用されている設定らしいが、その割に10桁もあり、随分非効率である。
 前作の時代にはほとんどの魔戒騎士が所持していた魔導輪は、現在では時代遅れの存在と化しているようであった。
 昼のVolcityのビル群を眺める場面では、この都市を支配する金城グループの看板が目立った。確認出来た限りでも、病院・銀行・本屋・食品・不動産・コーヒーと幅広い。
 今回は本作で重要な鍵となる「魔導ホラー」との戦いが行われる。魔導ホラーとは、陰我ホラーとは異なり、立派な人間にも憑依し、昼でも活動し、魔導火では正体を見抜ないという、非常に厄介な連中である。牙狼剣で体を斬ると、傷口から金色の光が溢れ、この光を浴びると黒ずんだ牙狼の鎧が一時的に金色になる。
 金城不動産に勤める魔導ホラー鷲頭正彦も、立派な人格を維持しており、食べる対象の人間は余程酷い取引相手や自分の正体を見た者や瀕死の重傷を負った者ばかりであった。
 この鷲頭が自分を魔導ホラーにした存在に対して恨み言をぶつける場面がある。鷲頭がこの独白を始めた時、それをどこかの店で聞いている人物がいる。この男もサラリーマン風なので、鷲頭本人であると誤解し易く、私も誤解していた。しかし良く見ると、眼鏡・服装が違っていたのである。余程注意深い視聴者には、ここで黒幕についてのヒントが与えられた事になる。
 因みに鷲頭の誕生日は、かの諸星あたると同じ四月十三日である。

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第3話『迷 Dungeon』
 陰我ホラー「パルケイラ」は人間を喰らい過ぎて肥え太り、地下通路から出られなくなってしまっていた。そこで二人の女性を使って男性を色気で誘って住居に誘い込んでいた。仕掛けを魔戒騎士達に見破られた後の彼女達はゾンビ風の顔になって戦うが、これも実は正体ではなく、真の正体は本体から分離したパルケイラの両手であった。
 符礼によれば、ホラーがここまで太る事は普通の町ではありえないらしい。確かに魔戒騎士が不在でも、行方不明者が普通に報道され続ければ、ホラーの生息地は危険な地域として認識され、訪れる人は減るだろう。
 ホラーの返り血が人間を美味にする設定は以前からあったが、今回は返り血を受けた布にすら反応するという設定になっていた。この布は生物の皮か何かで出来ているのだろうか?
第4話『夢 Dream』
 壇田という男に憑依した陰我ホラーは、スピーカーからスピーカーへと移動出来るという、使徒ホラー「バクギ」級の厄介な能力を持っている。しかも彼には魔戒騎士と戦う意思が無いので、ますます厄介である。
 この魔戒騎士からはひたすら逃げるというのは、非常に賢いやり方である。無印の『牙狼GARO>』の第三話の時点で、ホラーに食べられた魔戒騎士はまだ一人も存在していないという設定であった。その後、復活した使徒ホラーの「カルマ」が魔戒騎士を何人か食べたらしいが、結局は消化不良が一因となって滅んでいる。雑魚級のホラーが安易に魔戒騎士に戦いを挑んでは散っていく普段の話の方が私には不思議である。
 この陰我ホラーの存在と危険性を、流牙は持ち前の特殊聴覚を用いて見抜く。
 一方、治安維持部隊である「SG1」の隊長の燕邦は、何者かによって徐々に魔導ホラーとされていく。黒幕の正体についての伏線もしっかり張られているのだが、夢とも現実とも判別のつかない幻想的な雰囲気の中で彼女関連の話が進むため、ついうっかり違和感のある場面への注目が疎かになる仕掛けになっている。
 壇田と燕邦の二つの物語はどちらも決着せず、次回へと続く。
第5話『夢 Nightmare』
 題名の漢字部分からも判る通り、前回の続きである。
 厄介な壇田であったが、高価な魔導具によって捕捉される。魔戒法師の助力の場面が多いのは、鋼牙が活躍していた時代よりも文明が進んでいるせいなのか、それとも主人公達が素人であるために助力を仰ぎまくっているせいなのか・・・。
 燕邦は完全に魔導ホラー化した。陰我ホラーの眼が緑なのに対し、魔導ホラーのそれは赤。魔導具らしき地図の上の光としても、魔導ホラーは赤で表現されていた。
 魔導ホラーの光は一瞬で地図から消えた。瞬間移動能力を持った陰我ホラーをやっとの思いで退治した途端に、より面倒な敵が登場するという、この絶望感の演出が見事である。