『サクラ大戦 巴里花組ライブ2012 〜レビュウ・モン・パリ〜』

サクラ大戦 巴里花組ライブ2012 ~レビュウ・モン・パリ~ [DVD]

サクラ大戦 巴里花組ライブ2012 ~レビュウ・モン・パリ~ [DVD]

 現在銀河劇場で上演中の『サクラ大戦 巴里花組ショウ2014 〜ケセラセラ・パリ〜』の感想を近々書く予定なのであるが、その予習として視聴した『サクラ大戦 巴里花組ライブ2012 〜レビュウ・モン・パリ〜』のDVDの感想を先に発表しておく。
 劇中の季節はクリスマス直後の年末であるが、正確な時代設定は不明である。ただしベロムーチョ武田の所属が紐育に移っているので、1929年以降である事だけは確実である。またキネマトロンも既に長足の進歩を遂げ、通話対象を立体映像化する所まで来ていたので、かなり新しい時代の話であると思われる。
 そうであるというのに、ロベリア=カルリーニの刑期はまだ消滅し切っていないという設定になっていた。美術品破壊が専門で人命を狙っていたのではないナーデルを倒す戦いに参加しただけで一気に刑期が百年も縮んだのだから、その後の活躍を勘案するに、そろそろ刑期が終了してもおかしくはないと思うのだが、如何なものであろうか?
 今回の敵は馬の怪人フィルブランと羊の怪人レーヌという新作キャラであった。この二人はシゾーの負の感情が具現化したものである。一度は悪事からすっかり足を洗った上に仕立て屋として人間社会で成功者となったシゾーだが、皆が楽しそうなクリスマスの夜に自分だけ孤独でしかも忙しかったため、負の感情が強大化してしまったのである。
 『サクラ大戦3』の最弱ボスの、そのまた心の一部分に過ぎないのであるから、どうせ大した事はないだろうと当初は思っていたのだが、この二人は巴里花組メンバーの負の感情を刺激し、所属隊員の過半数をして一度は辞職を決断させるという大金星を挙げていた。直接の戦闘能力は未知数だが、精神攻撃における戦果のみを比較すれば、本編における蒼き刹那や織田信長を越えてしまったと言える。
 『サクラ大戦3』以後のシゾーの人生の一部が明らかになったのみならず、過去についても設定の一部が明かされていた。
 彼は兎と羊飼いの間に生まれた半人半獣であったらしい。人類を他者として扱いながらも、「兎」呼ばわりされる事にも反発していたのは、本人のアイデンティティがどちらか一方に偏っていなかったからなのであろう。
 また彼が三歳の頃はまだ二十世紀になっていなかったとの事である。シゾー達を生贄にするというサリュの復讐構想が、非常に長期的な計画に基づいていた事が判る設定である。
SEGA THE BEST サクラ大戦3 ~巴里は燃えているか~

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