『牙狼<GARO>〜魔戒ノ花〜』全話視聴計画(第9〜11話)

第9話 飼育
 初代『牙狼GARO>』「水槽」の回に似た雰囲気で話は進む。気の弱そうな男性がホラーらしき女性を飼育し、時には人間をもその餌にしてしまう。
 しかし終盤でどんでん返しが待っている。延々と描かれていた彼の飼育の記憶は、自分に自身をホラーではないと思い込ませるための偽りの記憶であり、実際は様々な女性を連れ込んでは自分で捕食していたのであった。
 聞いた話では、『妖怪始末人トラ・貧!!』の「胴面」という妖怪も、今回のホラー「リザリー」と同じく、自分自身をも騙して潜伏するらしい。

妖怪始末人トラ・貧!! 1 (秋田文庫 47-11)

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第10話 食卓
 ゴンザが休暇を貰う。ザルバが知る限りでは、冴島家三代の歴史でゴンザが休暇を貰ったのはこれが初めてらしい。
 話の大半はゴンザと引退した魔戒法師アンナのデートであるが、マユリが「美味しい」という概念を新たに獲得したり、石板ホラーを一体封印したりと、それなりに全体的な話も進む。
 今回のホラー「グランダ」は魔導具で待ち伏せをして倒すタイプのものであり、『MAKAISENKI』「秘密」に出てきたズフォーマーと設定が似ている。ザルバも過去に類似のホラーを見た事があると言っていた。このタイプのホラーを出した場合、話が普段の脇役中心で進む理由付けにし易い。
 なお、「魔戒法師の引退」という話題は『絶狼<ZERO>-BLACK BLOOD-』でも出ていたが、カインが引退後も魔導具製作者として生きていく予定だったのに対し、アンナはレストラン経営という通常人の職業に就き、術を使用する事を禁止されているらしかった。一口に「引退」と言っても、程度・段階があるのかもしれない。
 予告編の「カワバタ先生の漫画が読めるのは『牙狼』だけ!」の台詞に吹いた。
第11話 漫画
 漫画家「カワバタセイジ」がホラー「カリカジュアン」と契約して憑依される。第三話の感想(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20140911/1410429572)でも書いたが、やはり芸術家は契約によって憑依される。
 ホラーは原則として夜しか活動出来ないものだが、カリカジュアンは昼間に人間態のまま他の人間を食らい、その才能まで奪える。かなりの強者である。
 更にカリカジュアンはカワバタの住むビル全体に結界を張り、番犬所に気付かれずに活動を続ける。これは使徒ホラーのカルマですら魔戒法師の力を借りなければ出来なかった行為であり、これまたかなりの能力である。
 しかしながらカワバタは新連載の漫画の中に「数千年前の旧魔戒文字」を登場させてしまう。雷牙には単なる背景にしか見えなかった旧魔戒文字だが、マユリとザルバには読めたので、直ぐに足が付く。
 後半の戦闘場面においては、カリカジュアンは描いた漫画のキャラクターや効果音を武器にしてくる。
 ここで雷牙は「絵に一貫性が無いな。所詮、他人の技術か。」と言い放つ。絵が下手という設定の雷牙だが、やはり画家の息子だけあって、評論家としての眼は持っていたようだ。
 そしてカリカジュアンのもう一つの恐るべき能力は、予め描いておいた漫画通りに現実を動かすというものである。『忍者戦隊カクレンジャー』のムジナの技に似ているが、漫画の外側の世界にも影響を及ぼせるという意味で、それ以上に強力な技である。しかもカリカジュアンは一瞬で漫画を描けるのである。ドラえもん最強の道具と名高い「ソノウソホント」と同じく、これさえあれば事実上無敵である。
 雷牙は最後に自分がやられているコマの重要な部分にインクをぶつける事で、辛うじて未来を不確定にし、逆転勝利する。
 ここで使用されたインクは、カリカジュアン自身が行った大して効果の無い攻撃で使用されたインクを再利用したもの。絶対に勝てる筈の状況下なのに、暫くは大して効果の無い攻撃を続けたのは、本人曰く「一発で仕留めてしまったら物語の盛り上がりに欠けるからな」だそうである。
 攻守共に使徒ホラーをも超える凄まじい才能を持ちながら、下らない自己顕示欲のせいで旧魔戒文字を漫画に描いたり雷牙の死を実現出来る筈の漫画を雷牙に見せたり無意味なインク攻撃をしたりして、挙句まさかの敗北を遂げるというのは、如何にも芸術家崩れという雰囲気がある。
 なお、インクで原稿を台無しにするというアイディアを雷牙が思い付けたのは、その直前にマユリがインクを原稿にこぼしてカワバタに怒られていたからであった。
 旧魔戒文字に気付いた件もインクの件も、今迄は戦闘開始前に石板ホラーと通常ホラーとを判別する時と石板ホラーの封印の瞬間の時以外は傍観者であったマユリが、無自覚ながらも雷牙の相棒としての立場を強めてきた事を意味しているのだと思われる。
 こうして自分に憑依していたホラーを封印された後も、カワバタは改心せずに苦悶の表情を浮かべながら恨み言を述べる。雷牙はそんなカワバタに冷たいが、マユリはカワバタが幼い頃に描いた『ニンジャリン 1の巻』について「この漫画、私は嫌いじゃない。」と評する。これでカワバタの末期の顔は、やや和らぐ。
 考えようによっては、マユリは雷牙以上の優しさを身に付けたとも言える。
 なお、クロウがオルヴァと二人きりで会話する時も、雷牙の事を「雷牙さん」と呼ぶようになった点も注目に値する。
 クロウもマユリも、着実に変わってきている。
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