マリアの心臓第50回記念展に行きました。

 一体一体の人形の中に美醜を混在させる芸術も素晴らしいと思います。それを単体として鑑賞するのは好きです。
 しかしまた、他人が個別に製作した多くの個性的な人形を上手に配置し、美醜が混在した空間を作る事も芸術だと思います。
 私にこの事を気付かせてくれたマリアの心臓http://mariacuore.com/)の、第50回記念展に行ってきました。
 特定の作家や主題に偏っていない今回は、今まで私が見た中でも一番美醜の平衡が取れていた様に感じました。
 まず、一見無造作に置かれている一品一品を丹念に鑑賞しました。これだけでも確かに十分楽しいのですが、その種の楽しみは別の場所でも味わえます。
 その後、視点を個々の人形・絵画から徐々に遠ざけると、神聖と退廃とが渾然一体となった空間を楽しめました。美しいだけに見えた人形からも、醜さしか感じられなかった人形からも、この不思議な空間を成り立たせる部品としての不可欠さを新たに感じ取る事が出来ました。
 無粋な「非常口」の表記を見かけなければ、この狂気の空間の中で感動と錯乱の余り嘔吐していたかもしれません。