日本国と天皇家の関係(1)

 日本国と天皇家との関係について、なるべく多くの人を満足させるべく、様々な選択肢を色々と考えてみた。
 本題に入る前に、「国家機関としての天皇制護持論が尊皇派で、廃止論が反尊皇派」というドグマを批判してみる。
 まず近隣諸国を見渡すと、シハヌークという国王が王位を去る事で自分の政党の合法的な結成に成功したという例がある。
 民主主義が世界の潮流であるこの時代、日本でも天皇家に何らかの権力を返還するなら、憲法第3条を廃止して拒否権を与えるよりは、いっそ国家機関としての天皇制を廃止した後で、一市民たる天皇最高裁長官にでも任命するのが早道であろう。他にも国会議員を経て総理大臣というルートや、新設の大統領選挙に出馬して頂くという手もある。そうした事態を目指す「勤皇の志士」がいても面白い。
 また革新政党の支持者で天皇制に反対している人は、一市民となった後の天皇保守政党から比例第一位で立候補する事態を覚悟しているのだろうか?それとも「陛下やその御子孫は、そんな世俗的な事をなさらないに違いない!」という希望的観測の下で動いているのだろうか?
 鎌倉幕府江戸幕府が滅んだのは、大日本帝国や日本国とは違って天皇の軟禁が生温かったからだとも言える。不満分子の結集場所を野放しにしたために滅んだのだから。
 そして筋金入りの軍国主義者や反米主義者は、「皆が一生懸命戦っていたのに、「後ろからの一突き」によって敗北した。」と言って、大日本帝国天皇軟禁すら生温いと主張するだろう。
 中国には、権威を野に放たないための、滅ぼした王朝の子孫を遇する二大手法が存在した。一つは徹底的に殺し尽くす手法である。もう一つは自治区を与える事で影響力を一定範囲に限定する手法である。
 前者はこれまた世界の潮流に相応しくないし、歴史が余りにも長過ぎる天皇家は源平等の多くの分家を持つので、実効性のある虐殺をしていてはその規模はナチスによる虐殺を軽く超えてしまう可能性すらある。
 だが後者なら、バチカン等の例もあり、決して不可能ではないだろう。
 そして皇居の独立国化は、尊皇派と日本の共和国化を狙う勢力とを両方同時に満足させるのではないかと私は思うのである。
 日本国憲法第8条等の拘束は消滅して勤皇の志士は自由に財産を皇室に寄贈出来るし、皇室は好き放題に日本国民を主とする外国人達に官位・爵位等を与えられるだろう。
 官爵立国・観光立国を目指した方が、当分の間は皇室は今よりは豊かに暮らせると思われる。もし計算違いが起きたら、日本は責任を取って現在皇室のために使っている予算以内の額の援助をすれば、かつて南アフリカ共和国が国内に黒人の形式的な独立国を作った様な不義にはならない。
 また日本国籍を有しないもののかつて皇民化教育を受けた人やそうした人の強い影響を受けた人も、日本国民と同じ様に天皇家に仕える事が出来るだろう。
 皇居に侵入した賊も、不法入国者として重い外国法で裁いてもらえるかもしれない。
 こうした変化は勤皇家には良い事ばかりだと思う。
 また天皇を嫌う人にとっても、日本国の機構から天皇がいなくなって、しかも日本国の在野で影響力を行使するという事態も防げるのだから、やはり良い事ばかりだと思う。
 そして租税等の負担が軽くなるのは、誰にとってもプラスであろう。
 皇居の市国化には、日本の領土面積を減らす事になるという国威に関連した問題点も指摘出来るが、埋立地を増やせば十分回復出来る規模だろう。
 ただ最大の欠点として、一国を作るというのは手続きが煩雑になり過ぎるという事が挙げられる。
 そこで実はもう一つ、なるべく多くの人に、満足してもらえるとまではいかないものの、一歩前進とは見做してもらえるであろう、軽い改革案も考えている。これは今月の23日に発表する予定である。