『牙狼<GARO>』全話視聴計画(第一〜四話)

 私は数か月前から『牙狼GARO>〜MAKAISENKI〜』(http://garo-makaisenki.jp/index.html)を見始めたのだが、設定が余り解らず、十分に楽しむ事が出来ないでいた。その姿を見かねた古参ファンが、無印の『牙狼GARO>』(http://www.tv-tokyo.co.jp/garo/)のDVDを送ってくれた。これからしばらく本作品を集中して視聴し、思った事や浮かんだ謎等を記していこうと思う。

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第一話 絵本
 まずは、主人公冴島鋼牙の若き日の姿を存分に楽しんだ。現在の『MAKAISENKI』の彼と比べ、作中の設定上でも、そして俳優の演技力の上でも、未熟さが目立つ。頼り甲斐という点では現在が圧勝だが、母性本能への刺激力ではこの時期の方が格上であろう。
 最初の疑問は、彼の所に届いた指令の内容が抽象的過ぎる事であった。一応暫定的仮説として思いついた説明は、敵の居場所や実力は本人の管轄内ならば指輪の力だけで十分に発見出来るというものであった。この説の是非は、今後明らかになっていくであろう。
 今回のホラー「アングレイ」は有名という作中設定だけの事はあって、二段階変身をしたりと中々の実力であった。戦闘場面では、制限時間のある変身をした主人公が、本来は速く動けるというのに特段の事由も無く緩慢に動いていた点が、残念であった。敵の攻撃をものともしない強者が緩慢に動くと確かに貫録は出るのだが、冷静な視聴者は興醒めしてしまう。御月カオルを逃がすために意図的に緩慢に動いているという状況説明をカメラワークで伝えられていたならば良かったのだが・・・。
 戦闘の舞台となったのは画廊。『牙狼GARO>』だけに「画廊」なのか、単なる偶然なのかは不明。
 因みに横浜には「横濱牙狼画廊」という名称を持つ画廊が存在していたらしい(参照→http://www.yaf.or.jp/ycag/gallery/garou_g.html)。
第二話 陰我
 ホラー「イシュターブ」の人間態との戦いにおいて、鋼牙は何故か寸止めをしていた。序盤で手柄の数をカウントされる場面があったのだが、あるいは人間態を倒しても手柄として認められないのかもしれない。仮に手柄を稼ぐために意図的に変身をさせているならば、随分と傍迷惑な話である。
 第一話では斬り殺されたアングレイが随分と血液を飛散させ、その飛沫がカオルにかかった事で二人の間の物語が始動したというのに、今回のイシュターブは斬り殺される際に一滴の血も流さなかった。血の流れているタイプとそうでないタイプがいるのだろうか?
第三話 時計
 帰宅ラッシュ時の町に人が一杯居るせいでホラー探しに困っているという設定で始まるも、地下鉄の駅構内に場面が遷ると、不自然な程に人が居ない。設定上は大勢の乗客がいる筈なのに普段は車掌と星野鉄郎メーテルしか描かれない『銀河鉄道999』の如しである。
 ホラー「モラックス」は、人間ごとホラーを斬れない鋼牙の心の弱さを指摘して自分を斬れと挑発したかと思うと、一転してさっさと退散しろという交渉を始めたりする。この態度を整合させるならば、美味という設定のカオルを餌として確保したせいで命が惜しくなったといった所が妥当であろう。つまりカオルはそれ程美味なのだろう。
 この戦いでは、第一話で行っていた振り子式の刃物を相手とする奇妙な訓練が、早速にも直接的に役に立っていた。
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第四話 晩餐
 ホラー「パズズ」は強力な結界を張った上で、発見される事も無く安全に人間を食らっていた。発見された後も、結界の力で鋼牙を一度は撃退する。人間がフォアグラを食べる事を論って自己弁護をする等、かなりの知性派である。
 ところがパズズの人間態と鋼牙のどちらを信用するかでまだカオルが迷っている内に、「その極上の食材、渡してもらおうか。」と口走ってしまったため、カオルの旗幟を鮮明にしてしまい、そのせいで結界まで破られる。
 これもカオルの味の魅惑が、パズズの理性を打ち破ったとすれば、辛うじて整合させられそうである。
 一度は鋼牙の隙を突いて奇襲に成功した看護婦連の一人は、結界の根源である札を破ろうとするカオルを阻止しようとするも、簡単に負けてしまう。カオルが強いのか、鋼牙が案外弱いのか、それともその看護婦の体は実は最初の戦いでかなりのダメージを負っていたのか?
 パズズは、死にかけの人間を奇跡的に治した後に食べるというホラーである。食べるまでの期間は不明だが、その長さ次第では、あるいは人間の最大多数の最大幸福には資していたかもしれない。悪魔の姿をしながらも武器は十字架の形というデザインが、彼の所業が一概に悪とも決め付けられない事を象徴している。
 看護婦達の正体は、人間に憑依する前の状態だという公式設定(参照→http://garo-project.jp/keyword/?id=g028)の「素体ホラー」であった。どうやら本物の看護婦に憑依していたのではなく、単に変装していただけだと思われる。