『牙狼<GARO>』全話視聴計画(第五〜十二話)

第五話 月光
 妻を殺害した疑いで指名手配され、逃亡中に通行人の女学生を人質にした薬剤師が登場する。昔被害者に惚れていたため、私怨でその薬剤師を追う刑事も登場する。
 この三人の物語にはかなりの時間が割かれるのだが、結局は三人が三人とも物語には深く関わらず、目撃者予備軍を眠らせるための新アイテムの紹介のためだけに使われ、尻切れ蜻蛉で終わってしまっていた。彼等に再登場の機会はあるのか?
 ホラー「ルナーケン」のダミーを演じた女優は、第一話で絵の中の女性に変身したアングレイを演じていたのと、同じ人物である。魔界でホラー用に同じ人形が量産されていたりするのだろうか?
第六話 美貌
 序盤、初めて変身しないままホラーを倒せそうになるのだが、新キャラクター涼邑零の介入によって惜しくも逃してしまう。このため、憑依された「コトミ」を含めると被害者が少なくとも三名増えた。
 先に『MAKAISENKI』を視聴している私としては、零が今後仲間になる事は予測出来るのだが、今回被害を拡大させた一件での負の印象を今後どれだけ払拭出来るかは謎である。
 とはいえ、コトミはその前から随分酷い事をしていたので、彼女が憑依された上にさっさと鋼牙に粛正されたのは、長い目で見れば総じて世のため人のためになったと言えなくもない。その意味では、零の妨害に然程の不快感を持たない視聴者も多そうである。
 ホラー「ウトック」は破片から再現した墓石で攻撃をしてくるのだが、その墓碑銘を詳細に見ると、埋葬者の生年月日が1900年10月80日となっていた。制作側のミスでないとすれば、これはコトミの頭が空っぽである事を暗示しているのだろう。
第七話 銀牙
 夕刻から夜まで続く、鋼牙と零の長期戦がメイン。戦場は移り変わり、最終的に同じ高さの二棟のビルの間で二人は戦う。この事で二人がほぼ互角である事が暗示される。
 ホラーは一体だけ雑魚が登場し、直ぐ退場する。これについては視聴者の嗜好によって大いに評価が分かれそうである。
 ホラーの返り血を浴びた人間が百日経つとどんな死に様を迎えるのかについての情報と、それを避ける方法があるにはあるが非常に困難であるという情報が、会話等から得られた回でもある。また魔戒騎士の昼の仕事もこの回で判明した。戦っているだけに見えたが、情報面ではそれなりに重要な回だったのかもしれない。
第八話 指輪
 鋼牙・零の両名が、互いに剣を交えてはならないという掟を破った事を咎められて寿命を縮められる場面がある。ホラーの血を浴びた者を切らなかった際はペナルティが無かったので、カオルを切らない事はさして重大な違反ではない事になる。そうした軽い違反を咎めていた一方でより重大な違反を犯した零の印象が、私の中でまた悪くなった。
 ホラー「モロク」は、体の半分ずつそれぞれに氷と炎の力を宿していた。『ダイの大冒険』のフレイザードを髣髴させる。だが残念な事に、炎の力は使われないまま終わってしまった。

第九話 試練
 百体のホラーを倒した鋼牙は、「轟天」という馬を召還する資格を賭けた試練を受ける権利を手に入れた。
 魔戒騎士の変身時間が百秒だったり、ホラーの返り血を受けた者の寿命が百日だったりと、この作品は百が大好きのようである。現在の長さの「秒」の歴史はかなり浅いのだが、魔戒騎士の歴史はどの程度なのだろうか?
 少々不思議だったのは、鋼牙の試練が始まった瞬間、上司である神官達が非常に驚いていた事である。何らかの理由で鋼牙の戦績を数え間違えていたのだろうか?
 ホラー「ハンプティ」は名前の通り卵形である。どうせ自由落下を用いて倒すのだろうと勝手に予測していたのだが、これは外れた。
第十話 人形
 冒頭、ホラー「アスモディ」が大量の若者を一気食いする。一晩当たりの犠牲者数では、過去最高である。こんなのが大量に居て自由に人間を食らっていたら、すぐに人間は絶滅してしまいそうである。終盤でアスモディは鋼牙に対して何故醜い心の人間なんかの味方をするのかと責めていたが、魔戒騎士が適当にホラーを間引いていく事はホラー全体のためには寧ろ良い事かもしれないとすら思った。
 今回カオルがホラーの攻撃に当たってしまった点は高評価したい。何度襲われてもいつも間一髪で助かったり逃げ切ったり果ては蹴りを用いて勝ってしまっていたりしては、不自然である。
 なお、ホラーに憑依されていた人間がホラーに変身する際には、今までの話では一瞬の内に全身が変化していたのだが、今回はまず顔だけ変化して姿を隠し、やがて完全体として登場してきた。この完全体は、体質が風船に似ていた。
 この時点で既にかなり怪しかったのだが、最後の場面でアスモディに憑依されていたピエロが存命である事が示唆される。
 以上の情報を総合するに、劇中で倒したと思われたホラーはダミーだったと考えるのが自然であろう。
 因みに、遊園地で兎の着ぐるみが子供たちに苛められ、次の場面でそれが実はカオルだったと知れる、という一幕がある。これも実は、「アスモディ風船の中身が本当にアスモディであるとは限りませんよ。」というメッセージを遠回しに視聴者に伝えるための伏線だったのかもしれない。
第十一話 遊戯
 前回に引き続き、ホラー「ダンタリアン」がカオルへの攻撃に成功。彼女の魂を取り出して液状化した上に三分割する。
 それを賞品にしたゲームを鋼牙に挑む。ここで面白いのは、ゲームが行われる亜空間はダンタリアンの絶対有利な場所に見える一方で、ゲームで鋼牙が勝つと必ず魂の1/3が約束通り返還される事である。『MAKAISENKI』にも、亜空間を自在に使いこなしている様に見えていたのに、今一つそれを活用しきれずに敗れたホラーがいた。こういった現象を説明する設定が語られる回は来るのだろうか?
 ふざけた敵との戦いだったが、最後は美しく纏められていた。
 またカオルの内面に溢れる悲しい気持ちを、無理に脳内音声の再現という形を採るのではなく、表情と文字で伝えるという古式ゆかしきサイレント映画の手法を採っていた場面も、大いに気に入った。
 演技力に限界のある若手俳優でなくとも、仮にも音声で独白した時点で、その感情は自分で客観視して表明出来る程度のものだという印象が付き纏ってしまう。
 確かに文字に頼り過ぎては面白くないが、トーキーは概してもう少し文字を活用しても良いというのが、私の立場である。
第十二話 大河
 回想による、鋼牙の父親である冴島大河の物語。子役を用いた鋼牙の成長物語も併せて語られる。
 レギュラーメンバーで登場場面が多いのは、俳優が普段より若作りをした状態の執事の倉橋ゴンザだけ。予告編によれば次回は総集編の様である。スケジュール上、この時期にキャストに長期休暇を与えたと思われる。
 ソウルメタル製の剣は重いためクレーンで持ち上げる事すら難しく、人間は精神力を鍛えると使いこなせる様になる、という設定が示される。
 しかし第九話では、ゴンザが軽々と運んできた剣について、鋼牙は鞘から抜いてからソウルメタル製ではなく鉄製である事に気付いていた筈である。
 若き日のゴンザはソウルメタル製の剣を持ち上げる際にクレーンに頼ろうとしていたが、現在では実はある程度使いこなせる様になっているのかもしれない。